【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

COPD患者にはLAMA+LABAとLABA+ICSのどっちが良い?

「Long-acting muscarinic antagonist + long-acting beta agonist versus long-acting beta agonist + inhaled corticosteroid for COPD: A systematic review and meta-analysis.」

PMID: 26235837
 

PECO

P : COPD患者4392人

E : LAMA+LABA

C : LABA+ICS

O : FEV1・SGRQ(健康関連QOL)・TDI(息切れ)・全ての有害事象・重篤な有害事象・有害事象による中断・憎悪・総死亡

 

チェック項目

・研究デザイン : メタ解析
・真のアウトカムか? : FEV1→代用のアウトカム、その他→真のアウトカムと考える
・一次アウトカムは明確か? : 明確ではない(一次アウトカムがどれなのか不明)
・評価者バイアス : 「Two investigators independently searched」の記載あり。
・出版バイアス : 英語で書かれた研究のみ検索されており、出版バイアスについて検討されていたかの記載はない。
・元論文バイアス : 全てRCTだが、Quality scoreは平均して高くない。
・異質性バイアス : 異質性検定が行われている。
・追跡期間 : 6~26週間
 

結果

※E群→LAMA+LABA、C群→LABA+ICS

・トラフFEV1→71ml(95%信頼区間48~95)有意に改善(I2=68%)

・SGRQ(ポイントは低い方が症状改善)→-1.54ポイント(95%信頼区間-3.31~0.23)I2=75%

・TDI(ポイントは高い方が息切れ改善)→0.38ポイント(95%信頼区間0.17~0.58.)I2=49% 

・全有害事象→オッズ比0.90(95%信頼区間0.79~1.01)I2=0%

・重篤な有害事象→オッズ比0.84(95%信頼区間0.62~1.16)I2:22%

・有害事象による中断→オッズ比0.76(95%信頼区間0.53~1.09)I2 : 0%

・憎悪→オッズ比0.77(95%信頼区間0.62~0.96)I2=7%

・肺炎→オッズ比0.28(95%信頼区間0.12~0.68)I2=0%

・総死亡→オッズ比 1.00(95%信頼区間0.37~2.67)I2=0%

 

感想

LAMA+LABAはLABA+ICSと比較すると、より1秒量を改善・息切れを改善・憎悪のリスクを低下・肺炎リスクを低下することが示唆されておりLAMA+LABAに有利な結果ではありますが、一次アウトカムについての記載がなく、出版バイアス・元論文バイアスについても疑問が残るためかなり割り引いて考える必要があるかと思います。

 

まあ結局は良くわからないという事なんですが、それにしてもそれぞれ心血管イベントや死亡リスクの増加が示唆されているLAMA・LABAですが一応こちらでは総死亡については増加が見られてはいないんですね。