【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗精神病薬を服用している老人ホーム入居者はどれくらい骨折しやすいですか?

「Fracture risk in nursing home residents initiating antipsychotic medications.」

PMID: 23590366
 

PECO

P : ナーシングホームに入居している65歳以上100歳未満の患者(米国、8262人)
E : 抗精神病薬が処方されている
C : 抗精神病薬が処方されていない
O : 全骨折・大腿骨骨折
 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている。州・年齢・性別・地域・人種・臨床上の因子・ナーシングホームにおける因子について調整されている。
・対象の代表性は? : 一般的な医療保険のデータが使用されており大きな問題はないと思われる。
・追跡期間 : 平均93±71日
 

結果

・全骨折→ハザード比1.39(95%信頼区間1.11~1.75)P=0.004
・大腿骨骨折→ハザード比1.76(95%信頼区間1.08~2.87)P=0.024
 
また、第一世代と第二世代では全骨折・大腿骨骨折ともに有意な差は見られていない。
 

感想

転倒リスクが高いとされる抗精神病薬ですがやはりナーシングホームに入居している高齢者では骨折との関連が示唆されています。
施設入居者のBPSDに対して処方されることも多い抗精神病薬ですが、当たり前の事ではありますが安易に処方されるべきではなく、服用している患者の転倒について家族や介護職の方等と十分に話し合うことが重要かなと感じます。