【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ARB(オルメサルタン)にもう1剤追加するなら?

その是非は置いておいて、高血圧に対する第一選択として使われることの多いARBですが、今回は高齢者においてオルメサルタン単剤では十分な降圧効果が得られない患者に更にもう1剤追加するならCa拮抗薬と利尿薬どっちが良いの?というような論文を読んでみます。

 
「Combinations of olmesartan and a calcium channel blocker or a diuretic in elderly hypertensive patients: a randomized, controlled trial.」
PMID: 24999799
 
 
・研究デザイン : ランダム化比較試験
 

PECO

P : 65〜85歳で心血管疾患の既往がある又は心血管疾患のリスク因子を有し、降圧薬による治療を受けている状態で血圧が140/90mmHg以上又は降圧薬による治療を受けていない状態で血圧が160/100mmHg以上の患者(日本、5141人)

E : オルメサルタン5~40mg/日+Ca拮抗薬(アムロジピン2.5~5mg/日又はアゼルニジピン8~16mg/日)(2568人)

C : オルメサルタン5~40mg/日+低用量利尿薬(トリクロルメチアジド1mg/日以下・ヒドロクロロチアジド12.5mg/日以下・インダパミド1mg/日以下又はその他の利尿薬)(2573人)

O : 致死性又は非致死性の心血管イベント(突然死・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・一過性脳虚血発作・心筋梗塞・冠血流再建・狭心症又は心不全による入院・腎疾患)
 
※降圧目標は140/90mmHg以下
 
オルメサルタン服用中の患者にそれぞれ追加する試験だと思い込んで読みはじめてみたんですが、どうやらオルメサルタンとCa拮抗剤薬又は利尿薬を同時に始めるというもののようですね…。
まあ折角だし興味深いので読み進めてみましょう。
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複合アウトカムのため注意
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : PROBEが行われている
・解析方法は? : ITT解析が行われている
・追跡率 : 98%
・追跡期間中央値 : 3.3年
・サンプルサイズ : 片側2000人(パワー80%)
・患者背景 : 気になるような偏りはみられない。平均年齢73.6歳、男性51.6%
 

結果

E群(4.5%) vs C群(5.3%)→ハザード比0.83(95%信頼区間0.65–1.07)、P=0.16%
 
複合アウトカムの各要素も全て有意な差はみられていない。
 

感想

オルメサルタンにCa拮抗薬を追加した方が利尿薬を追加した場合と比較して心血管イベントリスクを低下させる傾向にあるが有意差はみられないという結果になっていますが、むしろオルメサルタン有りか無しかで比較した結果を見たいなと思ってしまいました。

まあ、心血管イベントをアウトカムとして考えた場合は併用薬や既往症又は患者さんの生活スタイル等を考慮しながらどちらを選択しても良いのかなと感じました。