【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗凝固薬と眼内出血/症候性の喘息にアジスロマイシン/DAPTの期間

【私的背景】

今回は、アブストラクトまでしか読めなけど気になった論文を。

 

 

①「Risk of Intraocular Bleeding With Novel Oral Anticoagulants Compared With Warfarin: A Systematic Review and Meta-analysis.」

PMID: 28687831

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28687831

 

【PECO】

: 心房細動または静脈血栓塞栓症の患者

: NOAC(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)の使用

: ワルファリンの使用

: 眼内出血

 

【チェック項目】

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・評価者バイアス : 2人の研究者が独立して評価している

 

【結果】

NOAC vs ワルファリン→リスク比 0.78(95%信頼区間 0.61~0.99) 異質性:I2=4.8%、P=0.40

 

【感想】

各RCTのワルファリンの管理について改めて確認する必要があるが、やはり出血についてはNOACが有利か。

網膜下出血リスクの高い患者などでは注意したい。

 

 

②「Effect of azithromycin on asthma exacerbations and quality of life in adults with persistent uncontrolled asthma (AMAZES): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.」

PMID: 28687413 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28687413

 

【PECO】

: 症候性の喘息のためステロイドおよびLABAの吸入を継続して使用している、聴覚障害またはQT延長のない18歳以上の患者(420例)

: アジスロマイシン 500mg×3/週を48週間

: プラセボを48週間

: 喘息の増悪率(中等度~重度)、喘息QOL

 

【チェック項目】

・研究デザイン : ランダム化比較試験

・真のアウトカムか? : 代用のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 設定さえているのは2つであり、問題ないと思われる

・ランダム化されているか? : されている

・盲検化されているか? : ニ重盲検が行われている

・ITT解析されているか? : されている

 

【結果】

・喘息の増悪

E群(1.07%/年) vs C群(1.86%/年)→発生率比 0.59(95%信頼区間 0.47~0.74)P<0.0001、NNT=127人/年

・喘息関連QOL

E群 vs C群→調整平均差 0.36(95%信頼区間 0.21~0.52)P=0.001

・アジスロマイシン群では下痢が多かった:E群(34%) vs C群(19%)→P=0.001

 

【感想】

成人の症候性喘息患者に対して、アジスロマイシンの使用は、喘息の増悪を減らし、QOLの改善も見られるという興味深い報告。

しかし、NNTを見るとそれほど大きな効果ではなく、QOLについても臨床的に意義のある差であるかは不明。

副作用のリスクも考えると、現時点では推奨されるものではない印象。

 

 

③「6- Versus 24-Month Dual Antiplatelet Therapy After Implantation of Drug-Eluting Stents in Patients Nonresistant to Aspirin: Final Results of the ITALIC Trial (Is There a Life for DES After Discontinuation of Clopidogrel).」

PMID: 28641840

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28641840

 

【PECO】

: 薬剤溶出ステント留置後のアスピリン非抵抗性の患者

: 6ヶ月間のDAPT

: 24ヶ月間のDAPT

: 死亡・心筋梗塞・血行再建術・脳卒中・出血の複合エンドポイント

 

【チェック項目】

・研究デザイン : ランダム化比較試験の事後解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

 

【結果】

※2年間

・一次エンドポイント : E群(3.5%) vs C群(3.7%)→P=0.79

心筋梗塞 : E群(1.3%) vs C群(1.0%)→P=0.51

脳卒中 : E群(0.6%) vs C群(0.8%)→P=0.77

・血行再建術 : E群(1.0%) vs C群(0.3%)→P=0.09

・死亡 : E群(1.2%) vs C群(2.2%)→P=0.11

 

【感想】

6ヶ月間のDAPTは24か月間と比較して、効果について大きな差は見られないという、これまでの報告と同じような結果である。