【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ワルファリンと比較した場合にNOACの有効性・安全性は?

 

「Effectiveness and Safety of Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixaban Versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation.」

PMID:27412905

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27412905

 

PECO

: 18歳以上の非弁膜性心房細動患者(米国、76354人)

: アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバンの使用

: ワルファリンの使用

: 有効性→脳卒中または全身性塞栓症、重大な出血

 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 診療報酬請求データベースおよびメディケアアドバンテージのデータが用いられており、大きな問題はないと思われる

・調整された交絡因子は? : 傾向スコアマッチングが行われている(Table 2を参照)

・平均追跡期間 : アピキサバン0.5±0.6年間、ダビガトラン0.7±0.8年間、リバーロキサバン0.6±0.7年間

 

結果

【有効性】

・アピキサバン(1.33%/年) vs ワルファリン(1.66%/年)→ハザード比0.67(95%信頼区間0.46~0.98)P=0.04、NNT=303人/年

・ダビガトラン(1.18%/年) vs ワルファリン(1.22%/年)→ハザード比0.98(95%信頼区間0.76~1.26)P=0.88

・リバーロキサバン(1.26%/年) vs ワルファリン(1.29%/年)→ハザード比0.93(95%信頼区間0.72~1.19)P=0.56

 

【安全性】

・アピキサバン(2.33%/年) vs ワルファリン(4.46%/年)→ハザード比0.45(95%信頼区間0.34~0.59)P<0.001、ワルファリンのNNH=47人/年

・ダビガトラン(2.37%/年) vs ワルファリン(3.03%/年)→ハザード比0.79(95%信頼区間0.67~0.94)P<0.01、ワルファリンのNNH=152人/年

・リバーロキサバン(4.04%/年) vs ワルファリン(3.64%/年)→ハザード比1.04(95%信頼区間0.90~1.20)P=0.60

 

感想

追跡期間が短い点には注意が必要ですが、アピキサバン優位な結果が続きますね。

一応、アピキサバンでは脳卒中のうち虚血性脳卒中ではワルファリンと有意な差は見られていないものの、出血性脳卒中について有意な差が見られているようです。

NOAC同士の比較ではやや不利な状況となってきたリバーロキサバンもワルファリンとの比較では出血について差は見られていないようです。

 

ただしTTRが全体的にそれほど高くはないため、ワルファリンの管理が良ければ特に出血に関してはNOACが勝るとも言い切れないのではないかとも思います。

参考までにTTRと脳卒中/全身性塞栓症および出血について検討されている研究を

→PMID:26187996 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26187996

 

ただ、これまでの研究も含めて考えるとやはりアピキサバンが最も出血リスクの点について有利ではないかと考えます。

 

 関連記事

screamtheyellow.hatenablog.com