NSAIDsの使用は心不全による入院と関連しますか?
「Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure in four European countries: nested case-control study.」
PMID:27682515
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27682515
PECO
P : オランダ・イタリア・ドイツ・英国の18歳以上の成人
[症例]NSAIDsの新規使用があり、初めての心不全による入院のあった患者(92163人、平均年齢77歳)
[対照]年齢・性別・コホート研究の登録年でマッチング(92163人、平均年齢76歳)
E : NSAIDsの新規使用あり
C : 使用なし
O : 心不全による入院
チェック項目
・研究デザイン : コホート内症例対照研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・対象集団の代表性は? : 一般住民を対象とした医療記録・診療記録のデータベースが使用されており、問題はないと思われる
・交絡因子への配慮は? : 年齢・心筋梗塞・アルコール摂取・喘息・心房細動/粗動・慢性肝疾患・慢性呼吸器疾患・糖尿病・心不全・脂質異常症・高血圧・鉄欠乏性貧血・虚血性心疾患・腎不全・肥満・骨粗鬆症・その他の心血管疾患・関節リウマチ及び炎症性関節炎・喫煙・脳卒中・心臓弁膜症及び心内膜炎・ACE阻害薬/ARB・抗血小板薬・アスピリン・β遮断薬・Ca拮抗薬・強心配糖体・CYP2C9誘導薬・CYP2C9阻害薬・利尿薬・ステロイド・硝酸薬・血小板凝集阻害薬・血管拡張薬
・暴露の定義は? : コホートの追跡期間中に受け取った全てのNSAIDs(23の従来のNSAIDs及び4つの選択的COX-2阻害薬)
Current→アウトカム発生より14日前以内にNSAIDsを使用、Recent→15~183日前まで使用、Past→その他
結果
・Current vs Past→オッズ比1.19(95%信頼区間1.17~1.22)
・Recent vs Past→オッズ比1.00(95%信頼区間0.99~1.02)
※薬剤別(日本で承認されているもののみ)
・インドメタシン→オッズ比1.51(95%信頼区間1.33~1.71)
・スリンダク→オッズ比1.32(95%信頼区間0.79~2.21)
・ピロキシカム→オッズ比1.27(95%信頼区間1.19~1.35)
・アセメタシン→オッズ比1.21(95%信頼区間0.73~2.02)
・ジクロフェナク→オッズ比1.19(95%信頼区間1.15~1.24)
・イブプロフェン→オッズ比1.18(95%信頼区間1.12~1.23)
・ナプロキセン→オッズ比1.16(95%信頼区間1.07~1.27)
・チアプロフェン酸→オッズ比1.07(95%信頼区間0.55~2.09)
・ロルノキシカム→オッズ比1.06(95%信頼区間0.80~1.41)
・ケトプロフェン→オッズ比1.03(95%信頼区間0.96~1.11)
・メロキシカム→オッズ比1.02(95%信頼区間0.94~1.11)
・プログルメタシン→オッズ比1.01(95%信頼区間0.61~1.67)
・フルルビプロフェン→オッズ比0.97(95%信頼区間0.68~1.40)
・セレコキシブ→オッズ比0.96(95%信頼区間0.90~1.02)
・エトドラク→オッズ比0.87(95%信頼区間0.63~1.19)
・オキサプロジンン→オッズ比0.82(95%信頼区間0.57~1.19)
感想
オッズ比で見ると大きなリスクではないようにも感じますが、NSAIDsの使用と心不全による入院の関連が示唆されております。
薬剤別では有意差があるものやないもの様々ですが、95%信頼区間が広くβエラーの可能性があるものについては注意が必要です。
漫然と使用されることも多いですが、特に高齢で心不全の既往のある患者に対するNSAIDsの使用や継続については十分に警戒すべきであると思います。
とは言えこの研究だけで判断するのは難しい印象ですが、その他にもNSAIDsの使用と心不全について検討されている研究がいくつかありました。
今回はリンクだけ貼りますが、こちらはまた後日改めて読んでみたいと思います。
犬と猫どっちが好き?!そんなの選べない!そんなあなたに犬猫ラブラブgif画像♡15選 :: PECO(ペコ)
ああ、最後のは関係ないやつですね。