【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

コーヒーを飲むことで認知症の予防が出来る?

このテーマにみんな興味ないんじゃないかと薄々気付いてはいるんですが、しつこくコーヒー・カフェイン特集第4弾です。

 
一応過去記事はこちら。
 
今回はカフェインと認知症に関する論文を読んでみたいと思います。
 
①「Caffeine intake and dementia: systematic review and meta-analysis.」
PMID: 20182026
※抄録のみ
 
[PECO]
P : 11観察研究(コホート研究9研究、ケースコントロール研究2研究)
E : カフェインの摂取あり
C : カフェインの摂取なし
O : 認知機能の低下及び認知障害
 
[チェック項目]
・研究デザイン : 観察研究のメタ解析
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 「Three independent reviewers selected the studies and extracted the data on to standardized forms.」の記載あり
 
[結果]
・カフェインの摂取量によって比較→相対リスク0.84(95%信頼区間0.72~0.99)I2=42.6%
・コホート研究のみで解析→相対リスク0.93(95%信頼区間0.83~1.04)I2= 0.0%
・最も影響のある研究を除外→相対リスク0.77(95%信頼区間0.63~0.95)I2= 34.7%
 
抄録のみしか読めないためこれだけだとなんだか良くわかりませんね。次いってみましょう。
 
 
 
②「Caffeine intake from coffee or tea and cognitive disorders: a meta-analysis of observational studies.」
PMID: 25721193
 
[PECO]
P : 観察研究20研究の対象になっている31479人(平均年齢71.9歳・女性51.8%)
E : コーヒーや紅茶・お茶からカフェインを摂取している
C : 摂取していない
※又は摂取量で比較(E群:3杯/週~8杯/日  C群:摂取なし~3杯/日)
O : 認知症・アルツハイマー・認知障害・認知機能低下の複合アウトカム
 
[チェック項目]
・研究デザイン : 観察研究のメタ解析
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 「Three evaluators independently extracted and reviewed articles」の記載あり
・出版バイアス : 「No publication bias was observed in the included studies (Begg’s funnel plot, symmetrical; Egger’s test, p for bias = 0.63) 」の記載あり。funnel plotは視覚的にも対称に見える。
・元論文バイアス : 全て観察研究のメタ解析
・異質性バイアス : 視覚的にはブロググラムの方向性が一致していないように見える
・追跡期間 : 9つのコホート研究で平均8.4年
 
[結果]
・カフェイン→オッズ比0.82(95%信頼区間0.67~1.01)I2=63.2%
複合アウトカムの各要素も全て有意な差は見られない。
 
※サブグループ解析
・コーヒーの摂取→オッズ比0.83(95%信頼区間0.70~0.98)I2=44.8%
①横断研究のみ→オッズ比0.70(95%信頼区間0.50~0.98)I2=42.0%
②ケースコントロール研究のみ→オッズ比0.82(95%信頼区間0.55~1.24)
③コホート研究のみ→オッズ比0.90(95%信頼区間0.59~1.36)I2=60.0%
 
・紅茶又はお茶の摂取→オッズ比1.00(95%信頼区間0.88~1.13)I2=40.5%
①横断研究のみ→オッズ比1.02(95%信頼区間0.86~1.22)I2=44.6%
②ケースコントロール研究のみ→オッズ比0.96(95%信頼区間0.36~2.53)I2=56.9%
③コホート研究のみ→オッズ比1.04(95%週0.74~1.46)I2=50.2%
 

感想

量については不明なものの①ではカフェイン摂取により認知障害や認知機能の低下を予防出来ることが示唆されており、②では有意な差は見られていないものの認知症・アルツハイマー・認知障害・認知機能低下のリスクについて減少傾向がみられている。異質性が高い点については注意が必要かと思います。
 
ただ、関連があったとしても影響は小さく、認知症の予防についてはあまり期待できないんじゃないかなと感じました。
②については平均年齢が高めのためもっと若いうちから飲んでいればどうかはわかりませんが、まあ歳を取ってから急にコーヒーを飲み始めるというのも考えづらいため、若い頃から習慣的に飲んでるパターンが多いのかな?