心不全の既往がある患者へのNSAIDsの使用は心不全を悪化させますか?
①「Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure exacerbation: A systematic review and meta-analysis.」
PMID:26427540
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26427540
※抄録のみ
【PECO】
P : 心不全の既往のある患者
E : NSAIDsの使用あり
C : 使用なし
O : 心不全の増悪
【チェック項目】
・研究デザイン : 観察研究のシステマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
【結果】
・NSAIDs→リスク比1.39(95%信頼区間1.20~1.62)
・セレコキシブ→リスク比1.34(95%信頼区間0.98~1.85)
・ロフェコキシブ→リスク比2.04(95%信頼区間1.68~2.48)
【コメント】
心不全患者へのNSAIDsの使用が心不全増悪リスクを高めることが示唆されているが、システマティックレビュー&メタ解析とはいえ統合されているのは観察研究でるため交絡の可能性も十分に考えられる。
②「Retrospective cohort study of association of NSAIDS exposure and outcome of acute decompensated congestive heart failure.」
PMID:23691696
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23691696
※抄録のみ
【PECO】
P : うっ血性心不全と診断された患者(タイ、196人)
E : NSAIDsの使用あり
C : なし
O : 総死亡、急性冠症候群、貧血、腎不全
【チェック項目】
・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
【結果】
・急性冠症候群 : E群(40.4%) vs C群(14.8%)→P<0.001
・貧血 : 有意な差は見られていない(P=0.859)
・腎不全 : 有意な差は見られていない(P=0.370)
・総死亡 : 有意な差は見られていない(P=0.639)
【コメント】
やはり全文読めないため妥当性は悩ましいところ。
③「Increased mortality and cardiovascular morbidity associated with use of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in chronic heart failure.」
PMID:19171810
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19171810
※抄録のみ
【PECO】
P : 心不全による入院後に生存していた患者(デンマーク、107092人)
E : NSAIDsの使用あり
C : なし
O : 心筋梗塞または心不全による入院
【チェック項目】
・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・集団の代表性は? : 全国的なレジストリであり、大きな問題はないように思われる
・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・暦年・併存疾患・治療薬・疾患の重症度について調整されている
【結果】
・ロフェコキシブ→ハザード比1.70(95%信頼区間1.58~1.82)
・セレコキシブ→ハザード比1.75(95%信頼区間1.63~1.88)
・イブプロフェン→ハザード比1.31(95%信頼区間1.25~1.37)
・ジクロフェナク→ハザード比2.08(95%信頼区間1.95~2.21)
・ナプロキセン→ハザード比1.22(95%信頼区間1.07~1.39)
・その他のNSAIDs→ハザード比1.28(95%信頼区間1.21~1.35)
【コメント】
やはり抄録しか読めないため妥当性については判断しかねるが、こちらの研究でも心不全だけでなく心筋梗塞による入院リスク増加が示唆されている点は注意。
感想
今回は全て抄録までしか読めず交絡等の可能性については排除できない段階ではあるが、やはり心不全の既往のある患者に対するNSAIDsの使用については十分な警戒が必要であり、どうしても使用する必要がある際も必要最低限の量を使用する事が肝要である。
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