末期腎不全患者へのDPP-4阻害薬の使用/安定型狭心症患者への降圧治療
今回は抄録までしか読めないものの気になった論文を少々。
①「Effects of DPP-4 inhibitors on cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and end-stage renal disease.」
PMID:27236110
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27236110
[PECO]
P : 末期腎不全を有する20歳以上の2型糖尿病患者(台湾、3556人)
E : DPP-4阻害薬による治療あり
C : なし
O : 総死亡、MACE(虚血性脳卒中・心筋梗塞)
[チェック項目]
・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・集団の代表性は? : 全民健康保険のデータベースが用いられており大きな問題はないと思われる
・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている
[結果]
・総死亡→ハザード比0.43(95%信頼区間0.39~0.47)
・MACE→ハザード比0.76(95%信頼区間0.65~0.90)
※二次アウトカム
・虚血性脳卒中→ハザード比0.77(95%信頼区間0.61~0.97)
・心筋梗塞、心不全による入院、低血糖については差が見られていない
[感想]
末期腎不全を有する2型糖尿病患者に対するDPP-4阻害薬の使用が総死亡や虚血性脳卒中リスクを減少させることが示唆されております。
この結果を以て積極的に使用すべきかについては悩むところですが、少なくともDPP-4阻害薬の使用について大きな問題はない印象です。
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②「Cardiovascular event rates and mortality according to achieved systolic and diastolic blood pressure in patients with stable coronary artery disease: an international cohort study.」
PMID:27590221
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27590221
[PECO]
P : 高血圧症を治療している安定型冠動脈疾患を有する患者(45ヶ国、22672人)
E : C群以外の血圧
C : 収縮期血圧120~129mmHg及び拡張期血圧70~79mmHg
O : 心血管死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合アウトカム
[チェック項目]
・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・追跡期間中央値 : 5.0年間
[結果]
・血圧140/80mmHg以上の群では心血管イベントの有意な増加が見られた。
・収縮期血圧120mmHg未満→調整ハザード比1.56(95%信頼区間1.36~1.81)
・拡張期血圧70mmHg未満→調整ハザード比1.41(95%信頼区間1.24~1.61)
・拡張期血圧60~69mmHg未満→調整ハザード比2.01(95%信頼区間1.50~2.70)
[感想]
交絡因子の調整等については読めないためやはりこれのみで判断するのは難しいですが、血圧の下げすぎには注意が必要ではないかと思います。
使用されている降圧薬の割合なんかも見てみたいところです。
厳格群として収縮期血圧120mmHg未満を目標としたSPRINT試験でも試験中の収縮期血圧の平均は121.4mmHgであったため、収縮期血圧が120mmHgを大きく下回るような血圧でコントロールされているような場合は十分な注意が必要であると考えます。
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