【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

アジスロマイシンの早期投与で下気道感染症の重症化が予防できる?

「Early Administration of Azithromycin and Prevention of Severe Lower Respiratory Tract Illnesses in Preschool Children With a History of Such Illnesses: A Randomized Clinical Trial.」

PMID: 26575060
 

PECO

P  重篤な下気道感染症の再発がみられる12~71ヶ月の幼児(米国、607人)

E : 下気道疾患の徴候がある、又は症状がある場合早期にアジスロマイシン(12mg/kg/day、5日間)を投与(307人)

C : プラセボを投与(300人)

O : 重篤な下気道疾患の発症に至らない気道疾患の数

 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化されているか? : されている
・盲検化されているか? : 2重盲検が行われている
・ITT解析されているか? : されていない
・追跡率 : 73%
・追跡期間 : 78週
・患者背景 : 気になるような偏りは見られない
・サンプルサイズ : 600人(パワー90%)
 

結果

少なくとも下気道疾患の徴候又は症状があり1回以上の治療を受けた幼児は443人(164人は治療を受けていない)、そのうちアジスロマイシン群223人・プラセボ群220人。
 
E群(絶対リスク0.05) vs C群(絶対リスク0.08)→ハザード比0.64(95%信頼区間0.41~0.98)P=0.04、NNT=33
 

感想

あくまでも重度の下気道感染症を繰り返すような幼児に限った話ではあるが、アジスロマイシンの予防的な投与が一概に悪とは言えないのではないかという結果になっている。

追跡率73%と書いたが割り付け後に気道症状が見られず治療を受けなかった幼児が約27%おり、サンプルサイズは33%が脱落することを想定して計算されているため差が出やすくなっていたかもしれない点に注意。

また、当初は52週の試験期間の予定が78週に延長されているためやはり差が出やすくなっている点に注意。