【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

吸入ステロイドは間欠投与でも良いですか?

今回は以前読んだメタ解析の原著論文を。

 

 

 
「Daily or intermittent budesonide in preschool children with recurrent wheezing.」
PMID: 22111718
 

PECO

P : 前年度中に4回以上の喘鳴エピソード及び1回以上の全身性ステロイドによる治療が必要な憎悪があった12~53ヶ月の患者(278人)
E : 呼吸器症状の発現時に高用量ブデゾニド(1mgを1日2回)を7日間吸入する間欠投与(139人)
C : 低用量ブデゾニド(0.5mg/日) を毎晩吸入する連続投与(139人)
O : 経口ステロイドによる治療が必要な憎悪の頻度
 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 76.6%
・追跡期間 : 12ヶ月間
・患者背景 : 連続投与群でタバコの煙の対する暴露が多めだったり、間欠投与群でコントローラーによる治療が多めだったりと若干の偏りが見られる
・サンプルサイズ : 250人(検出力90%)
 

結果

間欠投与群(0.95%/年) vs 連続投与群(0.97%/年)→相対比0.99(95%信頼区間0.71~1.35)
 
二次アウトカムである憎悪の回数・治療失敗率・喘鳴関連の治療利用率・成長への影響についても有意な差が見られない。
 

感想

1年間の治療では間欠投与と連続投与で喘息憎悪に対する効果に差がないという結果ですが、脱落者が多く、患者背景にも偏りがあるように感じるためランダム化が保持されているかどうかという部分に大きな疑問があり(脱落者が多い事でβエラーの可能性も?)、少なくともこの論文の結果を以て「間欠投与で良い」とは言い難い印象です。
 
また、間欠投与群では毎晩プラセボの吸入と連続投与群では呼吸器症状の発現時にプラセボの吸入が行われており、現実とは少しかけ離れているため実際の患者には適用しづらいかなとも感じます。