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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

PPIの使用は急性腎傷害と関連しますか?

制酸薬

今回はFacebook上でPPIの急性腎傷害について調べて欲しいとのご依頼をいただいたため、そちらを調べてまとめてみたいと思います。

 

 

①「Proton pump inhibitors and acute kidney injury: a nested case-control study.」

PMID:23865955

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23865955

 

【PECO】

: アメリカ合衆国中西部に住んでおり、民間保険会社に加入している18歳以上の患者

[症例] 急性腎疾患と診断された患者(854人)

[対照] 年齢・性別・居住地・コホートの登録日でマッチングされた患者(3289人)

: PPIの使用あり

: 使用なし

: 急性腎疾患の発症

 

【チェック項目】

・研究デザイン : コホート内症例対照研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 民間保険会社に加入している住民が対象となっており、大きな問題はないように思われる

・暴露の定義は? : 保険請求のデータが使用されており、発症した日から90日前以内のPPIの処方と定義されている

・交絡への配慮は? : 糖尿病、高血圧、高コレステロール、抗菌薬、利尿薬、NSAIDs、OTCの使用、併存疾患(心筋梗塞、うっ血性心不全、末梢血管疾患、脳血管疾患、片麻痺または対麻痺、認知症、慢性肺疾患、リウマチ性疾患、軽度の肝疾患、中等度~重度の肝疾患、エイズ、悪性腫瘍、転移性の固形腫瘍)

 

【結果】

・腎疾患→調整オッズ比 1.72(95%信頼区間 1.27~2.32)P<0.001

※腎疾患で最も多かったものは、急性腎機能障害および急性腎不全だった

 

 

 

②「Proton pump inhibitors and the risk of acute kidney injury in older patients: a population-based cohort study.」

PMID:26389094

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26389094

 

【PECO】

: オンタリオ州に住む66歳以上の患者(カナダ、年齢中央値74歳、女性56.7%)

: PPI(オメプラゾール・エソメプラゾール・ランソプラゾール・パントプラゾール・ラベプラゾール)の使用あり(290592人)

: 使用なし(290592人)

: 120日以内の急性腎傷害による入院

 

【チェック項目】

・研究デザイン : 人口ベースのコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : オンタリオ州の処方データベースが使用されており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている

・追跡期間中央値 : 120日間

 

【結果】

・急性腎傷害

E群(13.49/1000人年) vs C群(5.46/1000人年)→ ハザード比 2.52(95%信頼区間 2.27~2.79)、NNH=125/年

※一次アウトカムではないが、重要なもの

・急性間質性腎炎

E群(0.32/1000人年) vs C群(0.11/1000人年)→ハザード比 3.00(95%信頼区間 1.47~6.14)、NNH=4762/年

 

感想

PPIの使用は急性腎障害との関連が示唆されており、正直なところ個人的には副作用としてはあまり意識してきませんでしたが、PPIが処方される頻度を考えると決して稀なものではないように思われ、特に高齢者では注意が必要なように思います。

 

ちょっと力尽きてしまったため、今回はこの辺にして、PPIと腎疾患については今後も追っていきたいと思います。