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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高齢者への一次予防としてスタチン・フィブラートの投与は効果があるのか?

「Primary prevention with lipid lowering drugs and long term risk of vascular events in older people: population based cohort study.」

PMID: 25989805
 
 
・研究デザイン : 前向きコホート研究
 

PECO

P : 冠動脈疾患・脳卒中の既往のない65歳以上の患者(フランス、7484人)
E : スタチン又はフィブラートを服用(2048人)
C : スタチン又はフィブラートの服用なし(5436人)
O : 冠動脈疾患・脳卒中
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子 : 傾向スコアによるマッチングが行われており、年齢・性別・施設・糖尿病・BMI・喫煙・飲酒・高血圧・不整脈・抗血栓薬・TG・LDL-c/HDL-c比について調整されている
・追跡期間 : 平均9.1年
・患者背景 : 平均年齢73.9歳・女性63%
 

結果

フィブラートでは73%がフェノフィブラートを服用しており、スタチンでは38%がシンバスタチン23%がプラバスタチンを服用していた。
 
①冠動脈疾患又は脳卒中
・スタチン又はフィブラート服用群(9.2%) vs 服用なし群(10%)→調整ハザード比0.91(95%信頼区間0.76~1.09)、NNT=125
 
・スタチン群(9.1%) vs 服用なし群(10.0%)→調整ハザード比0.88(95%信頼区間0.69~1.13)、NNT=111
 
・フィブラート群(9.2%) vs 服用なし群(10.0%)→調整ハザード比0.95(95%信頼区間0.75~1.20)、NNT=125
 
 
②冠動脈疾患
・スタチン又はフィブラート服用群(6.3%) vs 服用なし群(5.7%)→調整ハザード比1.12(95%信頼区間0.90~1.40)、NNH=167
 
・スタチン群(6.3%) vs 服用なし群(5.7%)→調整ハザード比1.13(95%信頼区間0.84~1.52)、NNH=167
 
・フィブラート群(6.1%) vs 服用なし群(5.7%)→調整ハザード比1.12(95%信頼区間0.84~1.49)、NNH=250
 
 
③脳卒中
・スタチン又はフィブラート服用群(2.8%) vs 服用なし群(4.3%)→調整ハザード比0.66(95%信頼区間0.49~0.90)、NNT=67
 
・スタチン群(2.9%) vs 服用なし群(4.3%)→調整ハザード比0.68(95%信頼区間0.45~1.01)、NNT=71
 
・フィブラート群(2.8%) vs 服用なし群(4.3%)→調整ハザード比0.66(95%信頼区間0.44~0.98)、NNT=67
 

感想

高齢者への一次予防でスタチン又はフィブラートを投与した場合脳卒中のリスクを下げる事が示唆されているが、冠動脈疾患に対しては有意差はないものの若干ではあるがリスクを上げる傾向になっている。
脳卒中リスクの高い患者と冠動脈疾患リスクの高い患者では分けて考えるべきかもしれない。
しかしまあ意外と言っては何ですが、スタチンとフィブラートであまり差が見られていないんですね。
 
 
調整された因子に教育や収入に関するものは含まれていなかったのですが、おフランスの事情を私は知らないのでなんなんですが、スタチン又はフィブラートを処方されている人達ほどお金持ちで健康的な生活をしているとかそういう事はないんでしょうかね?