【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

下肢の閉鎖性動脈硬化症(ASO)の疑いのある患者はスタチンを服用したほうが良いですか?

 

 

「Statins for Prevention of Cardiovascular Events in a Low-Risk Population With Low Ankle Brachial Index.」

PMID:26868687

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26868687

 

PECO

: 足関節上腕血圧比(ABI)が≦0.95(ASOの疑い)である35~85歳の患者(スペイン、5480人)

: スタチンの使用あり

: 使用なし

: 総死亡・冠動脈疾患(心筋梗塞・血行再建術・冠動脈死亡)・脳卒中・MACE

※除外→症候性の末梢動脈疾患・冠動脈疾患・脳卒中または血行再建術の既往

 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・調整された交絡因子は何か? : 傾向スコアマッチングが行われている

・集団の代表性は? : プライマリケアのデータベースが使用されており

・追跡期間中央値 : 3.6年

 

結果

[総死亡]

E群(24.8%) vs C群(30.3%)→ハザード比0.81(95%信頼区間0.68~0.97)、NNT=239

 

[冠動脈疾患]

E群(8.4%) vs C群(12.2%)→ハザード比0.70(95%信頼区間0.52~0.94)、NNT=276

 

[脳卒中]

E群(11.8%) vs C群(13.2%)→ハザード比0.77(95%信頼区間0.54~1.12)

 

[MACE]

E群(19.7%) vs C群(24.7%)→ハザード比0.80(95%信頼区間0.66~0.97)、NNT=200

 

※有害事象→癌・出血性脳卒中・糖尿病の発症については有意な差は見られていない

 

感想

ABIの測定値が0.95以下の患者に対する一次予防でのスタチンの使用が有用である可能性があるものの、NNTを見ると効果はあまり大きなものではないような印象。

 

ABIと心血管疾患・冠動脈疾患発症リスクとの関連についての文献→

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24727729