【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ベザフィブラートは続けるべきですか?

今回はお題論文をいただきましたのでそちらを読んでみたいと思います。

 
「Bezafibrate for the treatment of dyslipidemia in patients with coronary artery disease: 20-year mortality follow-up of the BIP randomized control trial.」
PMID: 26794137 
 
[PECO]
P : BIP試験に参加した心筋梗塞または安定狭心症の既往があり、血清総コレステロール180~250mg/dL、LDLコレステロール≦180mg/dL、HDLコレステロール≦45mg/dL、TG≦300mg/dLである45~74歳の患者
E : ベザフィブラート400mg/日
C : プラセボ
O : 総死亡
 
 
 
どうやらBIP試験というランダム化比較試験終了後も観察を続けた研究のようです。
ではそちらの論文をまずは読んでみましょう。
 
 
「Secondary prevention by raising HDL cholesterol and reducing triglycerides in patients with coronary artery disease.」
PMID: 10880410 
 
[PECO]
P : BIP試験に参加した心筋梗塞または安定狭心症の既往があり、血清総コレステロール180~250mg/dl、LDLコレステロール≦180mg/dl、HDLコレステロール≦45mg/dl、TG≦300mg/dlである45~74歳の患者(3090人)
E : ベザフィブラート400mg/日(1548人)
C : プラセボ(1542人)
O : 致死的・非致死的な心筋梗塞または突然死
 
[チェック項目]
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 76%
・追跡期間 : 平均6.2年
・サンプルサイズ : 3000人(パワー62~85%)
・患者背景 : ほぼ同等、平均年齢60.1歳・男性91.4%・平均BMI26.7kg/㎡
 
[結果]
E群(13.6%) vs C群(15.0%)→リスク低下9.4%、P=0.26
 
 
ランダム化比較試験については以上のような結果になっております。
 
では、元の研究に戻りまして上記のランダム化比較試験に参加した患者458人の追跡が20年間行われており、総死亡について検討されております。
 
結果は以下に
 
E群(60%) vs C群(62%)→ハザード比0.90(95%信頼区間0.82~0.98)P=0.026、NNT=50
 
※サブグループ解析
TG≧200mg/dL→ハザード比0.75(95%信頼区間0.60~0.94)P=0.012
 

感想

元のランダム化比較試験を経由したため個人的に余計になんだかわからなくなってしまいましたが、あくまでもランダム化比較試験後の観察研究である点には注意が必要かと思います。
この結果のみで結論することは出来ないように思いますが、二次予防の患者50人に対して20年間で1人の死亡延長効果があるというのをどう取るのか非常に微妙な数字のようにも思います。
現在二次予防で服用している患者で考えると続けても良いし中止しても良いとも取れるのかなという印象です。