【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高血圧患者では心血管疾患のリスクはどれくらいあるか?

前回は2型糖尿病患者でしたが、今回は同じような内容で高血圧患者の心血管疾患リスクについて。

 
「Blood pressure and incidence of twelve cardiovascular diseases: lifetime risks, healthy life-years lost, and age-specific associations in 1·25 million people.」
PMID: 24881994
 
 
・研究デザイン : コホート研究
 

PECO

P : 30歳以上のイギリス人(1258006人)
E : 高血圧あり(血圧≧140/90mmHg、431663人)
C : 高血圧なし(826343人)
O : 12の心血管疾患(安定狭心症・不安定狭心症・心筋梗塞・冠動脈死・心不全・不整脈又は突然の心臓死・虚血性発作・虚血性脳卒中・くも膜下出血・脳内出血・末梢動脈疾患・腹部大動脈瘤)のプライマリーケア又は二次ケアにおける初発又は死亡時の診断
 

チェック項目

・真のアウトか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・調整した交絡因子は何か? : 喫煙歴・糖尿病・総コレステロール・HDLコレステロール・BMI・降圧薬による治療・年齢・性別
・追跡期間中央値 : 5.2年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
 

結果

収縮期血圧の上昇による全心血管疾患のハザード比は1.26(95%信頼区間1.25-1.28)、拡張期血圧ではハザード比1.23(95%信頼区間1.21-1.24)。

疾患を個別にみても全てリスクを有意に増加させている。

 

収縮期血圧が10mmHg上がる毎のリスクの増加は

・安定狭心症→ハザード比1.19(95%信頼区間1.18-1.20)

・不安定狭心症→ハザード比1.13(95%信頼区間1.11-1.15)

・心筋梗塞→ハザード比1.15(95%信頼区間1.14-1.16)

・冠動脈死→ハザード比1.12(95%信頼区間1.10-1.15)

・心不全→ハザード比1.12(95%信頼区間1.11-1.14)

・不整脈又は突然の心臓死→ハザード比1.10(95%信頼区間1.07-1.12)

・虚血性発作→ハザード比1.07(95%信頼区間1.06-1.08)

・虚血性脳卒中→ハザード比1.16(95%信頼区間1.14-1.18)

・くも膜下出血→ハザード比1.18(95%信頼区間1.13-1.23)

・脳内出血→ハザード比1.20(95%信頼区間1.07-1.23)

・末梢動脈疾患→ハザード比1.16(95%信頼区間1.15-1.18)

・腹部大動脈瘤→ハザード比1.02(95%信頼区間1.00-1.05)

 

年齢毎の生涯の心血管疾患リスクは

・30歳 : 高血圧群63.3% vs 正常血圧群46.1%→リスク比1.37(95%信頼区間1.36-1.39)、NNH=6人

・60歳 : 高血圧群60.2% vs 正常血圧群44.6%→リスク比1.35(95%信頼区間1.33-1.37)、NNH=7人

・80歳 : 高血圧群51.7% vs 正常血圧群37.3%→リスク比1.39(95%信頼区間1.36-1.41)、NNH=7人

 

感想

高血圧はどの年齢においても心血管疾患のリスク因子である事が示された。
また、心血管疾患の最もリスクが少ない血圧レベルは収縮期血圧90~114、拡張期血圧60~74mmHgであることも示唆されている。
 
ってかPDFで読めなくて凄く読みづらかった。