【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

2型糖尿病患者では心血管疾患のリスクがどれくらいあるか?

「Type 2 diabetes and incidence of cardiovascular diseases: a cohort study in 1·9 million people.」
PMID: 25466521



・研究デザイン : コホート研究

PECO

P : 30歳以上のイギリス人(1921260人)
E : 2型糖尿病あり(HbA1c6.5%以上、34198人)
C : 2型糖尿病なし(1887062人)
O : 12の心血管疾患(安定狭心症・不安定狭心症・心筋梗塞・冠動脈死・心不全・不整脈又は突然の心臓死・虚血性発作・虚血性脳卒中・くも膜下出血・脳内出血・末梢動脈疾患・腹部大動脈瘤)の初発

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・アウトカムは明確か? : 複数設定されている
・調整された交絡因子は何か? : 年齢・性別・BMI・社会的剥奪・HDLコレステロール・総コレステロール・収縮期血圧・喫煙歴・スタチン又は降圧薬の服用
・追跡期間中央値 : 5.5年
・患者背景 : 糖尿病あり群では、なし群と比較してスタチンや降圧薬の服用者が多い。その他は特に気になるような偏りは見られない。

結果

・安定狭心症→ハザード比1.62(95%信頼区間1.49-1.77、p<0.0001)
・不安定狭心症→ハザード比1.53(95%信頼区間1.32-1.76、p<0.0001)
非致死性心筋梗塞→ハザード比1.54(95%信頼区間1.42-1.67、p<0.0001)
・冠動脈死→ハザード比1.43(95%信頼区間1.23-1.65、p<0.0001)
・心不全→ハザード比1.56(95%信頼区間1.45-1.69、p<0.0001)
・不整脈又は突然の心臓死→ハザード比0.95(95%0.76-1.19、p=0.65)
・虚血性発作→ハザード比1.45(95%信頼区間1.31-1.60、p<0.0001)
・虚血性脳卒中→ハザード比1.72(95%信頼区間1.52-1.05、p<0.0001)
・くも膜下出血→ハザード比0.48(95%信頼区間0.26-0.89、p=0.02)
・脳内出血→ハザード比1.29(95%信頼区間1.02-1.62、p=0.03)
・末梢動脈疾患→ハザード比2.98(95%信頼区間2.76-3.22、p<0.0001)
・腹部大動脈瘤→ハザード比0.46(95%信頼区間0.35-0.59、p<0.0001)

感想

くも膜下出血及び腹部大動脈瘤はリスクを下げ、不整脈又は突然の心臓死では有意な差はない。その他はリスクを強力に増大させることが示唆された。
60歳未満・60歳以上と男性・女性別でも解析されいるが概ね似たような結果になっている。

大血管病変のリスクが高いのは良く知られているところですが、くも膜下出血と腹部大動脈瘤のリスクを下げる事が示唆されているのが興味深いですね。