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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

PPIを中止すれば肺炎リスクは減少しますか? ~続き

制酸薬 肺炎

前回からの続きですが、今回はツイキャス配信中にコメントでいただいた論文を紹介していきたいと思います。

 

 

 

①「Effect of Long-Term Proton Pump Inhibitor Therapy on Nutritional Status in Elderly Hospitalized Patients」

http://doi.org/10.3177/jnsv.62.330

→単施設でのコホート研究

高齢の入院患者において長期間のPPIの使用が栄養状態改善と関連[オッズ比0.994(95%信頼区間0.990~0.999)]

 

②「Oral health care and aspiration pneumonia in frail older people: a systematic literature review.」

PMID:22390255

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22390255

→システマティックレビュー

口腔ケアを行うことにより誤嚥性肺炎リスク低下が示唆。

コントロール群では介入群と比較して発熱日[リスク比2.45(95%信頼区間1.77~3.40)]・肺炎発症[リスク比1.67(95%信頼区間1.01~2.75)]・肺炎による死亡[リスク比2.40(95%信頼区間1.54~3.74)]のリスクが高かった。

 

③「Risk of community-acquired pneumonia with outpatient proton-pump inhibitor therapy: a systematic review and meta-analysis.」

PMID:26042842

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26042842

→システマティックレビュー&メタ解析

PPIの使用により市中肺炎リスクが増加することが示唆されている[オッズ比1.49(95%信頼区間1.16~1.92)I2=99.2%]

 

④「Randomised clinical trial: prevention of recurrence of peptic ulcers by rabeprazole in patients taking low-dose aspirin.」

PMID:25100080

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/25100080/

→ランダム化比較試験

低用量アスピリン服用中の患者においてラベプラゾール10mg(1.4%)・5mg(2.8%)の併用はテプレレノン(21.7%)の併用と比較して有意に消化性潰瘍の発生を減少させた。

 

⑤「Similar Efficacy of Proton-Pump Inhibitors vs H2-Receptor Antagonists in Reducing Risk of Upper Gastrointestinal Bleeding or Ulcers in High-Risk Users of Low-Dose Aspirin.」

PMID: 27641510

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27641510

→ランダム化比較試験

アスピリン開始後の患者において、ラベプラゾールの併用とファモチジンの併用では消化管出血・潰瘍の発生について有意な差が見られていない。

※イベント数がかなり少ないためβエラーの可能性が高い

 

感想

メタ解析ではPPIの使用と市中肺炎発症との関連が見られておりますが異質性が高く、やはり交絡の可能性は高いと思われ、「プロマックDのみでは十分ではないのか?」といったコメントもいただきましたが胃潰瘍の既往があり低用量アスピリン・鉄剤を服用しているような患者ではプロマックDのみでは消化管出血等を予防できるのかは不明であり、H2ブロッカーもPPIの代替にはなり得ない可能性があるため(※関連記事)、やはりPPIは中止しづらいように思います。

 

シナリオの問い合わせへの対処としては、PPIは継続しまずは口腔ケアや生活環境の改善についてお話しするのが妥当かなと個人的には思います。

とは言え、現在私が勤めている保険薬局では歯科と連携を取れるような体制は整ってないため口腔ケアの重要性を話して後は丸投げというような状態になってしまいます...。その辺りは今後経営者と共に話を進めていかなければなりませんね。

 

その他、誤嚥性肺炎リスク増加が示唆されている抗精神病薬の中止・減量や、PPIと関連してバイアスピリンは本当に必要なものなのかどうかなども考慮する余地はあるためシナリオのような医師からの問い合わせは、患者さんがどう考えているのかも考慮しつつですが、処方薬を一緒に見直す良い機会になるのではないかと思います。

 

 

コメントを下さった方々にはこの場をお借り致しまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。

次回の配信は恐らく来年になるかと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

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