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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高齢者ではスタチンによる一次予防のベネフィットはありますか?

脂質異常症・脂質降下薬

「Benefits of statins in elderly subjects without established cardiovascular disease: a meta-analysis.」

PMID: 23954343
 

PECO

P : 心血管疾患の既往のない65歳以上の患者(24674人、女性42.7%・平均年齢73.0±2.9歳・平均追跡期間3.5±5年間)
E : スタチンの使用(12292人)
C : プラセボの使用(12382人)
O : 総死亡・心血管死亡・心筋梗塞・脳卒中・癌の新規発生
 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複数設定されているため注意
・評価者バイアス : 2人の評価者独立して評価している
・出版バイアス : 言語の制約はなく、modified Macaskill’s testにより検討されており「No publication bias was found for each outcome considered in the analyses.」と記載されている
・元論文バイアス: 「All studies included in analyses were randomized, high-quality trials without major methodological limitations」と記載されている
・異質性バイアス : 「authors reported no heterogeneity of the effects of statins on outcomes between patients older or younger than age 65 years」と記載されている
 

結果

・心筋梗塞 : E群(2.7%) vs C群(3.9%)→相対リスク0.606(95%信頼区間0.434~0.847)P=0.003、異質性:I2=63.3%・P=0.028、NNT=84人
・脳卒中 : E群(2.1%) vs C群(2.8%)→相対リスク0.762(95%信頼区間0.626~0.926)P=0.006、異質性:I2=43.7%・P=0.130、NNT=143人
・総死亡→相対リスク0.941(95%信頼区間0.856~1.035)P=0.210、異質性:I2=0.0%・P=0.570
・心血管死亡→相対リスク0.907(95%信頼区間0.686~1.199)P=0.493、異質性:I2=0.0%・P=0.831
・癌の新規発生→相対リスク0.989(95%信頼区間0.851~1.151)P=0.890、異質性:I2=0.0%・P=0.492
 

感想

高齢者におけるスタチンの一次予防効果は、心筋梗塞・脳卒中のリスクを有意に減少させるものの死亡については有意な差は見られていません。
心筋梗塞については何故か抄録とフォレストプロットでは相対リスクと95%信頼区間の記載が異なり、異質性も高めのため注意が必要であり割り引いて考えるべきかもしれません。
 
 
今回は高齢者に対するスタチンの一次予防が検討されている他の論文ついても見てみたいと思います。
 
→メタ解析。75歳以上の高齢者では心血管死亡の減少が見られるものの、総死亡の減少は見られず高齢者におけるスタチンの一次予防効果は確立されていない。
 
→メタ解析。65歳以上の患者では心血管イベント・心筋梗塞の減少が見られるものの、総死亡については有意な減少は見られていない。
 
→コホート研究。65歳の患者では冠動脈疾患・脳卒中リスクの有意な減少は見られていない。
 
 
以上ですが高齢者に対するスタチンの一次予防効果は「死亡」という点でみるとベネフィットは明確ではなく、心筋梗塞や脳卒中に対する予防効果もあまり大きなものではないため、特に75歳を超えるような高齢者で本人の希望がある場合等はスタチンの中止を検討する余地は充分にあると思います。
 
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