食後高血糖を改善すれば死亡リスクは減少するのか?
前回は時効型のインスリンだったので、超短時間型ではどうか。
「Effects of Prandial Versus Fasting Glycemia on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes: The HEART2D trial」
PMID: 19246588
・研究デザイン : ランダム化比較試験
PECO
P : 21日以内に急性心筋梗塞を発症した30~75歳の2型糖尿病患者(1115人)
E : インスリンlisproを1日3回食前に投与し、食後血糖値<135mg/dLを目標に治療(557人)→食後血糖管理群
C : インスリンNPH1日2回又はインスリンglargine1日1回を投与し、空腹時及び食前血糖値<120mg/dLを目標に治療(558人)→空腹時血糖管理群
O : 心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・冠動脈再建手術・急性冠症候群による入院の複合エンドポイント
チェック項目
・真のアウトか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : PROBEが行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 92.8%
・追跡期間 : 平均2.7年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
・サンプルサイズ : 490人(パワー80%)で達成されている
結果
食後血糖管理群(31.2%) vs 空腹時血糖管理群(32.4%)→ハザード比0.98(95%信頼区間0.8-1.21)、P=0.866
複合エンドポイントを構成する各要素も全て有意差なし。
感想
食後高血糖に対する管理も空腹時血糖管理でも大血管症及び死亡のリスクに対して有意な差はなかった。
食後高血糖は大血管症・死亡のリスクを上昇させるとされていますが、食後高血糖を改善してもアウトカムは改善しないという結果なんですね。ほへー。