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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

メディアの過激な報道はスタチンの服用に影響を与えますか?

脂質異常症・脂質降下薬

「Impact of statin related media coverage on use of statins: interrupted time series analysis with UK primary care data」

BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i3283 (Published 28 June 2016)Cite this as: BMJ 2016;353:i3283

 

PECO

P: 心血管疾患の一次予防および二次予防のためにスタチンを開始または継続して服用していた40歳以上の患者(英国)

: メディアによるスタチンの副作用に対する報道後(グーグルでの「スタチン 副作用」で検索されている回数を分析)

: 報道前

: スタチンの開始・中止

 

チェック項目

・研究デザイン : 前向き時系列研究(同一の対象を前後で比較)

・真のアウトカムか? : 代用のアウトカム

・集団の代表性は? : プライマリケアのデータベースが使用されており、大きな問題はないと思われる

・季節変動は? : 暦日について調整されている

 

結果

・スタチンの開始 : 一次予防→オッズ比0.99(95%信頼区間0.87~1.13)

           二次予防→オッズ比1.04(95%信頼区間0.92~1.18)

・スタチンの中止 : 一次予防→オッズ比1.11(95%信頼区間1.05~1.18)

           二次予防→オッズ比1.12(95%信頼区間1.04~1.21)

 

感想

抄録に「リスクに対するメディアの激しい報道」というような表現があり、どこの国でも同じような問題を抱えているんだなあと感じました。

副作用の報道とスタチンの中止に関連が見られておりますが、薬剤師であれば多くの方が患者さんから「この前テレビで見たんだけど~」というような話しをされ、内容が妥当ではないと思われる場合でも、こちらがいくら説明してもなかなか聞き入れてもらえないというような事は経験があるかと思います。

現場の薬剤師がメディアの情報を覆すというような事はなかなか困難な場合も多いですが、大げさな情報に左右されないよう普段接する患者さんとの信頼関係を築いていく工夫をすることが大切なのかなと月並みですが思います。

また、リテラシーの向上に対する取り組みもできたら良いなとは思っておりますが、それはまた今後の課題にしたいです。

 

この研究のアウトカムはスタチンの開始・中止ですが、私個人はあくまでも代用のアウトカムであると考え、その後患者がどうなるのか?についてはこの研究からは不明です。

もちろん大げさな報道には問題があるとは思いますが、そういった情報を目にした患者さんから訴えがあった場合にたしなめるだけではなく、その薬が患者さんにどれくらい必要なものなのかを定量的に評価し、患者さんと一緒に考えるという事もしていく必要があるのかなと思います。なかなか時間的に厳しいという面もありますが...