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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗うつ薬は心血管アウトカムリスクを増加させますか?

「Antidepressant use and risk of cardiovascular outcomes in people aged 20 to 64: cohort study using primary care database」

BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1350 (Published 22 March 2016)
 
[PECO]
P : うつ病と診断された20~64歳の患者(英国、238963人、平均年齢39.5歳(SD11.1)、女性61%)
E : 抗うつ薬の使用あり
C : 抗うつ薬の使用なし
O : 不整脈・心筋梗塞・脳卒中又は一過性脳虚血発作
 
[チェック項目]
・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・うつ病と診断された年・うつ病の重症度・貧困・喫煙・飲酒・民族・冠動脈疾患・糖尿病・高血圧・癌・てんかん/痙攣・甲状腺機能低下症・骨関節炎・喘息/COPD・脳卒中/一過性脳虚血発作・リウマチ・骨粗鬆症・肝疾患・腎疾患・強迫性障害・スタチン・NSAIDs・アスピリン・降圧薬・抗痙攣薬・鎮静/催眠薬・経口避妊薬・ホルモン補充療法・抗精神病薬・ビスホスホネート・抗凝固薬について調整されている
・集団の代表性は? : 英国における一般診療のデータベースが利用されており、大きな問題はないと思われる
・追跡期間中央値 : 5.2年(2.5-8.2)
 
[結果]
※うつ病と診断されてから5年間
 
〇不整脈
・三環系抗うつ薬→調整ハザード比1.09(95%信頼区間0.88~1.35)P=0.46
・SSRI→調整ハザード比0.84(95%信頼区間0.73~0.97)P=0.02
・その他の抗うつ薬→調整ハザード比1.21(95%信頼区間0.96~1.54)P=0.11
・抗うつ薬の併用→調整ハザード比1.07(95%信頼区間0.54~2.09)P=0.85
 
薬剤別では
・ロフェプラミン(三環系)→調整ハザード比1.67(95%信頼区間1.10~2.76)
・フルオキセチン(SSRI)※日本未承認→調整ハザード比0.74(95%信頼区間0.59~0.92)
 
 
〇心筋梗塞
・三環系抗うつ薬→調整ハザード比1.20(95%信頼区間0.94~1.52)P=0.14
・SSRI→調整ハザード比0.85(95%信頼区間0.71~1.00)P=0.06
※初めの1年では、調整ハザード比0.58(95%信頼区間0.42~0.79)P=0.001
・その他の抗うつ薬→調整ハザード比1.00(95%信頼区間0.70~1.42)P=0.98
・抗うつ薬の併用→調整ハザード比0.57(95%信頼区間0.18~1.75)P=0.32
 
薬剤別では
・ロフェプラミン(三環系)→調整ハザード比2.02(95%信頼区間1.14~3.59)
・フルオキセチン(SSRI)→調整ハザード比0.73(95%信頼区間0.59~0.98)
 
 
〇脳卒中又は一過性脳虚血発作
・三環系抗うつ薬→調整ハザード比1.24(95%信頼区間0.98~1.58)P=0.08
・SSRI→調整ハザード比1.09(95%信頼区間0.93~1.27)P=0.28
・その他の抗うつ薬→調整ハザード比1.20(95%信頼区間0.91~1.60)P=0.20
・抗うつ薬の併用→調整ハザード比1.54(95%信頼区間0.86~2.78)P=0.15
 
[感想]
そもそもこれまでうつ病が心筋梗塞や冠動脈疾患のリスクを増加させる事が示唆されてきましたが(PMID: 26871852 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26871852 ・PMID: 25540022 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25540022 )、抗うつ薬の使用による心筋梗塞のリスク増加は見られず、逆に5年間ではうつ病に対する薬物治療により心筋梗塞リスクが低下するというわけでもないのだなと思いました(短期間ではSSRIでリスクの低下が見られておりますが)。
 
絶対リスクを見るとそれほど大きな差ではないように感じるものの

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心血管イベントのリスクが高い患者では極力ロフェプラミンは使用するべきではないと思います。
 
 
 
他にも類似の研究が複数あるようなのでまた後程読んでみたいと思います。