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【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

Ca拮抗薬は胃食道逆流症状と関連しますか?

私的背景】

Ca拮抗薬は下部食道括約筋の圧を低下させ、胃食道逆流症状を悪化させるとされているが、Ca拮抗薬が胃食道逆流症状と関連するのか、現象について見てみたいと思う。

 

 

「Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?」

PMID:17298478

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17298478

 

PECO

: 虚血性心疾患の既往または硝酸薬の使用のない、高血圧症の治療のためにCa拮抗薬が処方されている患者(371例、平均年齢64.9歳、女性51.2%)

: Ca拮抗薬の使用前

: Ca拮抗薬の使用後

: 胃食道逆流症状

 

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカムと言える

・対象集団の代表性は? : 西オーストラリアの14の地域薬局と1つの病院で患者を募っており、一般化は難しいかもしれない

・交絡因子の調整は? : 年齢、性別、併存疾患、併用薬について調整されている

 

結果

①Ca拮抗薬使用前に胃食道逆流症のあった130名の患者のうち、45.8%の患者で症状の悪化がみられた。

・症状の悪化が最も多かったのはアムロジピンであった。[61.3%、P<0.0001]

・症状の悪化が最も少なかったのはジルチアゼムであった。[12.5%、P<0.5000]

②Ca拮抗薬使用前に胃食道逆流症の症状がなかった241名の患者のうち、35.3%の患者で症状の発現がみられた。

・症状の発現が最も多かったのはベラパミルであった。[39.1%、P=0.001]

・症状の発現が最も少なかったのはジルチアゼムであった。[30.7%、P値記載なし]

③ジルチアゼムとの比較

・ニフェジピン→オッズ比 4.03(95%信頼区間 1.10~14.80)

アムロジピン→オッズ比 4.22(95%信頼区間 1.13~15.70)

・フェロジピン→オッズ比 3.58(95%信頼区間 0.98~13.12)

・ベラパミル→オッズ比 1.80(95%信頼区間 0.49~6.67)

 

感想

Ca拮抗薬と胃食道逆流症状の関連について検討されている研究自体が少ないようで、今回はこの研究しか見つけられませんでしたが、Ca拮抗薬と胃食道逆流症状との関連が示唆されているものの、後ろ向きの前後比較であり、症状については患者へのアンケートで集計が行われているため妥当性については疑問が残ります。

質の高い研究であるとは言い難く、少なくともCa拮抗薬と胃食道逆流症状の関連について結論できるものではありません。

とは言え、もともと胃食道逆流症状の既往のあった患者などでCa拮抗薬開始後に症状の再発や増悪がみられた場合などは、Ca拮抗薬の影響も考慮すべきではないかと思います。

坐骨神経痛に対するプレガバリン/厳格な血糖コントロールと細小血管障害

私的背景】

今回も抄録しか読めないけど、興味深い論文を読んでみたいと思います。

 

 

「Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica」

N Engl J Med 2017; 376:1111-1120March 23, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1614292

http://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa1614292

 

【PECO】

: 坐骨神経痛のある患者(209例)

: プレガバリン 150mg/日(108例)

: プラセボ

: 下肢痛の強度(全10ポイント)

 

【チェック項目】

・研究デザイン : ランダム化比較試験

・真のアウトカムか? : 真のアウトカムと言える

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・ランダム化されているか? : されている

・盲検化されているか? : 二重盲検が行われている

 

【結果】

・8週目

E群(平均3.7ポイント) vs C群(平均3.1ポイント)→調整平均差 0.5ポイント(95%信頼区間 -0.2~1.2)P=0.19

・52週目

E群(平均3.4ポイント) vs C群(平均3.0ポイント)→調整平均差 0.3ポイント(95%信頼区間 -0.5~1.0)P=0.46

※有害事象

E群:227例 C群:124例

プレガバリン群では眩暈が最も多かった

 

【感想】

プレガバリンは坐骨神経痛の患者についてプラセボと差がみられないという結果で、ちょっと衝撃的です。

個人的には効果がみられない患者と、劇的に痛みが改善する患者が両極端にいて、眩暈で中止になる例がやはり多く、特に腎機能が低下している患者では眩暈の他に浮腫みが出てくる例も数例経験しているため、痛みに対する薬物治療そのものが難しいところがある印象ですが、その中でも使いどころが難しい薬剤である印象です。

 

 

 

「Effects of intensive glucose control on microvascular outcomes in patients with type 2 diabetes: a meta-analysis of individual participant data from randomised controlled trials」

DOI http://dx.doi.org/10.1016/S2213-8587(17)30104-3

 

【PECO】

: 4つのランダム化比較試験に参加した2型糖尿病患者(27049例)

: 厳格な血糖コントロール

: 厳格ではない血糖コントロール

: 腎イベント(末期腎不全、腎死亡、eGFR<30mL/min/1.73㎡、糖尿病性腎症)、眼イベント(網膜光凝固療法、硝子体切除術、増殖性網膜症、糖尿病性網膜症)、神経イベント(振動覚消・足首の反射・軽い接触に対する感覚の消失)

 

【チェック項目】

・研究デザイン : メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・追跡期間中央値 : 5.0年間

 

【結果】

・腎イベント→相対リスク 0.80(95%信頼区間 0.72~0.88)P<0.0001

・眼イベント→相対リスク 0.87(95%信頼区間 0.76~1.00)P=0.04

・神経イベント→相対リスク 0.98(95%信頼区間 0.87~1.09)P=0.68

 

【感想】

「厳格」と言ってもどの程度の血糖コントロールであるかは、それぞれのランダム化比較試験の論文を読む必要があるとして、厳格な血糖コントロールの大血管障害に対するベネフィットについては今のところ不明確である印象ですが、腎イベントや眼イベントについてはリスクを減少させることが示唆されております。

これを以て、厳格な血糖コントロールを行うべきだとは思いませんが、細小血管障害についてはベネフィットがあるかもしれないというのは貴重な報告であると思います。