【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

SGLT-2阻害薬とDPP-4阻害薬ではどちらが良いですか?

【私的背景】

なんだかんだ言っても、SGLT-2阻害薬は気になる奴である。

今回はDPP-4阻害薬と比較されている研究の論文を読んでみたいと思う。

 

「Dapagliflozin Compared to DPP-4 inhibitors is Associated with Lower Risk of Cardiovascular Events and All-cause Mortality in Type 2 Diabetes Patients (CVD-REAL Nordic): a multinational observational study.」

PMID: 28771923

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28771923

 

PECO

: 18歳以上の2型糖尿病患者(40908例、デンマークノルウェイスウェーデン、平均年齢 61歳、女性 40%、心血管疾患 23%、微小血管疾患 15%、心血管疾患予防薬の使用 84%)

: ダパグリフロジンの新規使用

: DPP-4阻害薬の新規使用

: MACE(心筋梗塞・虚血性/出血性脳卒中・心血管死亡)、心不全による入院、総死亡

 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 各国での全国的なデータが使用されており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている。(マッチングされた因子についてはSupplemental Table 3 参照)

・平均追跡期間 : 0.95年間

 

結果

・MACE

E群(1.86/100人年) vs C群(2.34/100人年)→ハザード比 0.79(95%信頼区間 0.67~0.94)P=0.006、NNT=209人/年

心不全による入院

E群(0.99/100人年) vs C群(1.57/100人年)→ハザード比 0.62(95%信頼区間 0.50~0.77)P<0.001、NNT=173人/年

・総死亡

E群(1.03/100人年) vs C群(1.75/100人年)→ハザード比 0.44(95%信頼区間 0.33~0.60)P<0.001、NNT=139人/年

・心房細動

E群(1.48/100人年) vs C群(1.58/100人年)→ハザード比 0.92(95%信頼区間 0.76~1.12)P=0.414

・重症低血糖

E群(0.95/100人年) vs C群(1.01/100人年)→ハザード比 0.94(95%信頼区間 0.74~1.19)P=0.618

 

感想

追跡期間が短いものの、ダパグリフロジンはDPP-4阻害薬と比較して、MACE・心不全による入院・総死亡について有意にリスクを減少させることが示唆されており、EMPA-REG OUTOCOME試験やCANVAS試験からこの辺りは一貫しているように思います。

MACEについて見てみると、心筋梗塞脳卒中・心血管死亡それぞれについては有意な差はみられておらず、やはり利尿薬的な印象を受けます。

BMIや生活習慣等についてはマッチングが行われておらず、詳しい記載もないため患者背景については不明な部分も多いですが、これまでの知見を踏まえると、肥満のある非超高齢患者などでは使用が考慮されても良いのではないかと考えております。

しかし、以前示唆されていた下肢切断リスクが気になるところです。今後の研究も注意深く追っていきたいと思います。

 

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