【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

COPD患者はLAMAとLABAではどちらが良いですか?

「Tiotropium versus salmeterol for the prevention of exacerbations of COPD.」

PMID:21428765

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21428765

 

PECO

: 喫煙歴がありCOPDと診断され、1秒率が70%以下・努力肺活量が70%以下で1年以内に急性増悪により全身性ステロイドまたは抗菌薬または入院による治療を受けた40歳以上の患者。(25ヶ国7376人、男性74.7%、平均年齢62.9歳)

: チオトロピウムハンディヘラー18μg+加圧式定量噴霧器によるプラセボ1日2回(3707人)

: 加圧式定量噴霧器によるサルメテロール50μg×2/日+ハンディヘラーによるプラセボ1日1回(3669人)

: 初回のCOPD急性増悪までの時間

 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・ランダム化が行われているか? : 行われている

・盲検化が行われているか? : 二重盲検・ダブルダミーが行われている

ITT解析が行われているか? : 行われていない(per-protcol解析?)

・追跡率 : 83.3%

・サンプルサイズ : 7350人(パワー80%)

・患者背景 : 同等

・追跡期間 : 1年間

 

結果

・初回の急性増悪までの時間(一次アウトカム)

E群(187日) vs C群(145日)→E群で42日間長かった[ハザード比0.83(95%信頼区間0.77~0.90)P<0.001]

 

※二次アウトカム

・中等度の急性増悪→ハザード比0.86(95%信頼区間0.79~0.93)P<0.001

・重度の急性増悪→ハザード比0.72(95%信頼区間0.61~0.85)P<0.001

・360日間における死亡

E群(1.7%) vs C群(2.1%)→ハザード比0.81(95%信頼区間0.58~1.13)

・その他、肺炎や心血管イベントなどに有意な差は見られていない

 

感想

サルメテロールと比較するとチオトロピウムは急性増悪までの期間を延長し、増悪の発生リスクも低下させることが示唆されています。

ただし、ITT解析は行われておらず脱落者もやや多い印象であるため差が出やすくなっていると考えられるので、割り引いて考える必要はあるかと思います。

 

あくまでもサルメテロールとの比較ではありますがチオトロピウムは1日1回で良いというのも大きなアドバンテージにはなるかとは思いますが、いずれにしろやや古い論文でありLAMA・LABAについてはご存じの通りその後に新薬も世に出ているためまた改めて調べてみたいと思います。