【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

結婚した方が長生きできますか?

今回は結婚に関連した論文をサラッと。

 

①「Marital status and mortality among Japanese men and women: the Japan Collaborative Cohort Study.」

PMID: 17484786

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17484786

→コホート研究。日本の40~79歳の男女。追跡期間:9.9年間。

結婚していない男性は結婚していない男性と比較して心血管疾患死亡[相対リスク3.05(95%信頼区間2.03~4.60)]、呼吸器疾患死亡[相対リスク2.43(95%信頼区間1.27~4.63)]、外的な死亡[相対リスク2.18(95%信頼区間1.05~4.54)]、総死亡[1.91(95%信頼区間1.51~2.42)]のリスクが高い事が示唆されている。

結婚していない女性では総死亡のリスクが高い事が示唆されている[相対リスク1.46(95%信頼区間1.15–1.84)]。

調整されている交絡因子が面白い。

 

②「Marital status and mortality in the elderly: a systematic review and meta-analysis.」

PMID: 17011690

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17011690

→コホート研究のシステマティックレビュー&メタ解析。

結婚している高齢者は結婚していない(未亡人・離婚/別居・結婚したことがない)高齢者と比較して死亡リスクが低い[相対リスク0.88(95%信頼区間0.85~0.91)]。

出版バイアスあり。

 

③「Marital status, change in marital status, and mortality in middle-aged British men.

PMID: 7572960

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7572960

→コホート研究。英国の40~59歳の男性。追跡期間:11.5年。

結婚したことがない男性は心血管死亡[相対リスク1.5(95%信頼区間1.0~2.2)、非がん・非心血管死亡[相対リスク1.8(95%%信頼区間1.1~3.3)]のリスクが高い。

離婚した男性または男やもめは非心血管疾患死亡リスクが高い[相対リスク2.4(95%信頼区間1.1~5.3)]。

 

④「The rising relative risk of mortality for singles: meta-analysis and meta-regression.」

PMID: 21715646

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21715646

→メタ解析。

結婚したことがない非高齢者は結婚している人と比較して死亡リスクが高い[ハザード比1.24(95%信頼区間1.19~1.30)]。

 

 

抄録のみ読んだだけなので要批判的吟味ですが、既婚者より未婚者の方が死亡リスクが高い事が示唆されております。

全て観察研究又はそのメタ解析であるため何かしらの理由で死亡リスクの高い人はそうではない健康な人と比べて結婚しづらいというような交絡の可能性もあるのかもしれませんが、食生活などの生活習慣が偏っている男性などでは結婚して改善される事で死亡リスクが低下するのではないかと考える事も不自然ではないように思います。

 

まあなんだか身につまされるような研究ですが、そうは言ってもねえ…