喘息の子供にアセトアミノフェンを使っても大丈夫ですか?
「Acetaminophen versus Ibuprofen in Young Children with Mild Persistent Asthma.」
PMID:27532828
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27532828
PECO
P : 生後12~59ヶ月で軽度(治療ステップ2)の持続型喘息患者(米国、298人)
E : 発熱時または疼痛時にアセトアミノフェン(15mg/kg)を頓用で使用(150人)
C : イブプロフェン(9.4mg/kg)を頓用で使用
O : 全身性ステロイドによる治療が必要な喘息憎悪の回数
チェック項目
・研究デザイン : ランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカムと言える
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている(どちらもグレープフレーバーの液剤を使用)
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 75.8%
・追跡期間 : 46週間
・サンプルサイズ : 294人(パワー90%)
・患者背景 : ほぼ同等
結果
※中央値で5.5回(1.0~15.0)の薬剤の使用があった。(各群で有意差はなし、P=0.47)
[喘息の憎悪]
E群(0.81回) vs C群(0.87回)→相対比0.94(95%信頼区間0.69~1.28)P=0.67
※二次アウトカム
[喘息がコントロールされている日数]
E群(85.8日) vs C群(86.8日)→相対比-1.01(95%信頼区間-3.94~1.92)P=0.50
感想
これまで小児においてアセトアミノフェンの使用と喘息に関連した合併症との関連が示唆されていましたが、イブプロフェンとの比較において喘息憎悪には差が見られておりません。
しかしながら、喘息の小児患者では解熱鎮痛剤の使用については慎重になるべきですがこの試験ではプラセボとの比較ではなく解熱鎮痛剤同士の比較である点、脱落者が多い点、差が出づらいITT解析が行われている点に注意が必要であり、アセトアミノフェンが安全に使用できるとは言い切れない印象ではあります。また、重度の喘息患者は対象になっていない点についても注意が必要です。
ただやはり、そうは言っても解熱鎮痛剤が必要な場合もあるかと思いますがその際にはアセトアミノフェンの使用も十分に考慮できるという結果であると考えます。