CKD患者は最終学歴によって死亡リスクに違いがありますか?
「Impact of Educational Attainment on Health Outcomes in Moderate to Severe CKD.」
PMID:26385817
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26385817
PECO
P : 40歳以上で冠動脈疾患の既往がない、血清クレアチニンが男性では1.7mg/dL、女性では1.5mg/dL以上である中等度~重度のCKD患者(18ヶ国9270人、平均年齢61歳・男性63%・平均血圧139/79mmHg/・平均BMI27.1kg/㎡)
E : 最終学歴が高校卒業・職業資格取得・中学校卒業・小学校卒業・学校教育を受けていない
C : 大学卒業
O : 血管イベント(致死的または非致死的な心血管・脳血管・末梢血管イベント)、死因別死亡・CKDの進行
チェック項目
・研究デザイン : SHARP試験の前向き疫学解析(観察研究)
SHARP試験→http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21663949
・追跡期間中央値→4.9年
結果
[血管イベント]
Ⓐ年齢・性別・人種・治療薬について調整
大学卒業 vs 教育なし→相対リスク1.46(95%信頼区間1.14~1.86)
※大学卒業と比較して教育レベルが低いとリスクが増加する傾向(詳しくはFig 1参照)
Ⓑ年齢・性別・人種・喫煙・飲酒・BMI・CKDの段階・血管疾患の既往・糖尿病・腎臓病・血圧・アルブミンレベル・尿アルブミン/クレアチニン比・ヘモグロビンレベル・リン酸塩レベル・HDL-cレベル・総コレステロールレベルについて調整
→傾向は有意ではない
[死亡]
・血管死亡
Ⓐ教育レベルが低いと有意にリスクが増加(詳しくはFig 2参照)
大学卒業 vs 教育なし→相対リスク1.84(95%信頼区間1.21~2.81)
Ⓑ大学卒業 vs 教育なし→有意な差はない
・非血管死亡
Ⓐ教育レベルが低いと有意にリスクが増加(詳しくはFig 2参照)
大学卒業 vs 教育なし→相対リスク2.15(95%信頼区間1.60~2.89)
Ⓑ教育レベルが低いと有意にリスクが増加
・総死亡
Ⓐ教育レベルが低いと有意にリスクが増加(詳しくはFig 2参照)
大学卒業 vs 教育なし→相対リスク2.05(95%信頼区間1.62~2.58)
Ⓑ教育レベルが低いと有意にリスクが増加
[CKDの進行]
教育レベルの比較において有意な差は見られていない
感想
保険薬局に来局される血液透析または腹膜透析が行われている患者さんについては最終学歴についてどうすることもできませんが、生活習慣への介入が重要であるということが示唆されているのであろうと思います。
それにしてもCKD患者に対してシンバスタチン+エゼミチブとプラセボで比較して血管イベントについて検討されている元のRCTの方が気になりますね。