【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

クロピドグレル+アスピリン vs プラセボ+アスピリン

今回は前回のメタ解析で大きなウェイトを占めていたランダム化比較の論文を読んでみたいと思います。

 
 
「Clopidogrel and aspirin versus aspirin alone for the prevention of atherothrombotic events.」
PMID: 16531616
 

PECO

P : アテローム血栓症のリスク因子を複数有する・冠動脈疾患の既往・脳血管疾患の既往・症候性末梢動脈疾患の既往のうちいずれかに一つに該当する45歳以上の患者(32ヶ国、15603人)
E : クロピドグレル+アスピリン(7802人)
C : プラセボ+アスピリン(7801人)
O : 有効性→心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の複合エンドポイント、安全性→重篤な出血
 

チェック項目

・研究デザイン : ランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 層別ランダム化が行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 99.5%
・追跡期間中央値 : 28ヶ月
・サンプルサイズ : 15200人(パワー90%)
・患者背景 : ほぼ同等、年齢中央値64歳・女性29.8%
 

結果

[心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の複合エンドポイント]
E群(6.8%) vs C群(7.3%)→相対リスク0.93(95%信頼区間0.83~1.05)P=0.22
 
[重篤な出血]
E群(1.7%) vs C群(1.3%)→相対リスク1.25(95%信頼区間0.97~1.61)P=0.09
 
※サブグループ解析
[リスク因子を複数有する(無症候性)]
・一次エンドポイント : E群(6.6%) vs C群(5.5%)→相対リスク1.2(95%信頼区間0.91~1.59)P=0.20
・心血管死亡 : E群(3.9%) vs C群(2.2%) P=0.01、NNH=59人
 
[冠動脈疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾患(症候性)]
・一次エンドポイント : E群(6.9%) vs C(7.9%)→相対リスク0.88(95%信頼区間0.77~0.998)P=0.046、NNT=100
 

感想

有効性・安全性に対する一次アウトカムはどちらも有意な差は見られず、サブグループ解析を見ると一次予防についてはやはりリスクがベネフィットを上回る事が示唆されております。
二次予防については有意な差が見られているものの有効性はわずかなものであり前回のメタ解析とはまた違った印象で、少なくともこの研究のみでは二次予防に対して有効であると結論することはできないためまた改めて他の論文についても読んでみたいと思います。
 
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