【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

NOACの方が出血により死亡するリスクは低いですか?

「Risk of Fatal Bleeding in Episodes of Major Bleeding with New Oral Anticoagulants and Vitamin K Antagonists: A Systematic Review and Meta-Analysis.

PMID: 26383245
 

PECO

P : 18歳以上の心房細動又は急性静脈血栓塞栓症の患者
E : NOACによる治療
C : VK拮抗薬による治療
O : 致死的な大出血・致死的な頭蓋内出血・致死的な頭蓋外の出血
 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス :「Two reviewers extracted data independently」と記載されている
・出版バイアス : 検討はされておらず、英語の論文のみが対象となっている
・元論文バイアス :「The J-ROCKET AF trial lacked adequate description of the sequence generation and allocation process. All other studies were at low risk for bias in this criteria.」と記載されており、大きな問題はないと思われる
・異質性バイアス : ブロボグラムは視覚的に一致している
 

結果

[致死的な大出血]
E群(7.6%) vs C群(11.3%)→オッズ比0.65(95%信頼区間0.52~0.81) 異質性:P=0.71・I2=0%
 
[頭蓋内出血のうち致死的なもの]
E群(39.9%) vs C群(40.9%)→オッズ比0.96(95%信頼区間0.70~1.32) 異質性:P=0.50・I2=0%
 
[頭蓋外の出血のうち致死的なもの]
E群(4.9%) vs C群(5.7%)→オッズ比0.94(95%信頼区間0.66~1.35) 異質性:P=0.66・I2=0%
 

感想

「ARISTOTLE試験」「RE-LY試験」「ENGAGE-AF TIMI 48試験」「ROCKET AF試験」の4試験が大きなウェイトを占めており、実質的にはこの4試験のメタ解析であるような印象だが、出血による死亡についてはVK拮抗薬と比較するとNOACが有利な結果。
腎機能低下例などでは個別に注意が必要。
 
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