【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

溶連菌にはどの抗菌薬を使うべきですか?

「Different antibiotic treatments for group A streptococcal pharyngitis.」

PMID: 23633318
 

PECO

P : A群溶連性レンサ球菌に感染しており、咽頭痛のある成人及び子供(生後1ヶ月~80歳)の5352人
E : セファロスポリン・マクロライド・カルバセフェム
C : ペニシリン
O : 症状の解消(咽頭痛・発熱・気分の悪さ等の改善や治癒)
 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 「Two review authors (MVD, NK) independently extracted data」と記載されている
・出版バイアス : 「There were no language or publication restrictions」と記載されている
・元論文バイアス : 全て二重盲検が行われているRCTであり、Figure 2のグラフを見ても大きな問題はないように思う
・異質性バイアス : 「using a  cut-off point of I2 statistic > 20%」と記載されている
 

結果

・セファロスポリン群(24.2%) vs ペニシリン群(24.5%)→オッズ比0.79(95%信頼区間0.55~1.12)I2=0%、NNT=334

・マクロライド群(44.1%) vs ペニシリン群(42.3%)→オッズ比1.11(95%信頼区間0.92~1.35)I2=0%

・カルバセフェム群(30.6%) vs ペニシリン群(38.1%)→オッズ比0.70(95%信頼区間0.49~0.99)I2=0%、NNT=14

 

※二次アウトカムでは再発において、セファロスポリン群(2.76%) vs ペニシリン群(4.58%)→オッズ比0.55(95%信頼区間0.31~0.99)I2=28%、NNT=55

 

感想

ペニシリンと比較するとセファロスポリンの方がやや有利な結果のように見えますが、その差はあまり大きなものではない印象です。
やはり第一選択としてはペニシリンで良いのだろうなと思います。
 
このメタ解析ではリウマチ熱等の合併症について不明なため非常に残念です。


実は溶連菌に経口第三世代セフェムが処方されているケースをしばしば目にするのですが、そこに切り込んでいくには使いづらい論文という感じですね…