【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

慢性心不全を合併している2型糖尿病患者ではHbA1cは低い方が良いですか?

「Mean HbA1c and mortality in diabetic individuals with heart failure: a population cohort study.」
PMID: 26663216

PECO

P : 慢性心不全を合併している2型糖尿病患者、平均年齢71.8歳・女性38.%(スコットランド、1447人)
E : ①HbA1c<6.0% ②6.1~7.0% ③8.1~9.0% ④>9.0%
C : HbA1c7.1~8.0%
O : 総死亡

チェック項目

・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・交絡因子の調整は? : 年齢・性別・社会との隔離・体重・喫煙・心筋梗塞による入院・BMI・MAP・eGFR・使用している薬
・集団の代表性は? : スコットランドの1つの州のみのデータが使用されており、地域の医療の状況等はわからないため判断できかねるが、入院患者などの特定の患者を対象としたものではない。
・追跡期間中央値 : 2.8年

結果

①HbA1c<6.0%→ハザード比2.5(95%信頼区間1.8~3.4)
②HbA1c6.1~7.0%→ハザード比1.4(95%信頼区間1.1~1.7)
③HbA1c8.1~9.0%→ハザード比1.3(95%信頼区間1.0~1.6)
④HbA1c>9.0%→ハザード比1.8(95%信頼区間1.4~2.3)


感想

HbA1c7.1~8.0%で最も死亡リスクが低いことが示唆されていますが、少なくとも高齢の慢性心不全を合併している2型糖尿病患者の場合、積極的にHbA1cを下げるような治療は必要ないように思います。