【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

α遮断薬を始めると脳梗塞が起こりやすくなりますか?

「Risk of ischemic stroke during the initiation period of α-blocker therapy among older men.」

PMID: 26644502
 

PECO

P : 脳梗塞を発症した、α遮断薬を新規に開始した50歳以上の男性(台湾、7502人)
E : α遮断薬の使用あり(リスク期間60日)
C : α遮断薬の使用なし(コントロール期間610日)
O : 脳梗塞の発生
 

チェック項目

・研究デザイン : セルフコントロールドケースシリーズ研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整されている交絡因子は? : 年齢・心房粗動/細動
・集団の代表性は? : 台湾における国民健康保険のデータが使用されており、大きな問題はないと思われる
・平均年齢 : 71.0歳
・使用された薬剤 : テラゾシン1663例・ドキサゾシン2252例・タムスロシン3108例・アルフゾシン479例
 

結果

・α遮断薬開始後≦21日 : 調整発生率比1.40(95%信頼区間1.22~1.61)
・α遮断薬開始後22~60日 : 調整発生率比0.80(95%信頼区間0.70~0.92)
 
 
・α遮断薬開始前-1~-21日 : 調整発生率比2.87(95%信頼区間2.60~3.17)
・α遮断薬開始前-22~60日 : 調整発生率比1.99(95%信頼区間1.82~2.18)
 

感想

α遮断薬開始後3週間以内で有意な脳梗塞の増加が見られている。
 
ただ、コントロール期間と比較してα遮断薬開始前でも脳梗塞発生の有意な増加が見られており、α遮断薬が処方されるような状態は脳梗塞が起こりやすいという事なのでしょうか?
いずれにしろα遮断薬が新規で開始される場合は注意が必要。
 
改めて他に関連した論文がないか後日調べてみます。