【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

駆出率が保たれている心不全患者は一硝酸イソソルビドを服用することでQOLが改善できますか?

「Isosorbide Mononitrate in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction」

PMID: 26549714
 

PECO

: 50歳以上の駆出率の保たれている心不全患者(110人、米国)

E : 一硝酸イソソルビドを6週間服用(51人)※初めの1週間は30mg/日、2週目は60mg/日、その後は120mg/日を服用

C : プラセボを6週間服用(59人)

O : 一硝酸イソソルビド120mg/日服用期間中の1日平均加速度単位(日常生活活動のレベル)

 

チェック項目

・研究デザイン : クロスオーバーが行われているランダム化比較試験
・真のアウトカムか? : 代用のアウトカムかな…
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : 77.3%
・患者背景 : Table1を見ると偏りが見られる。平均心不全罹患期間1.8年・平均年齢69歳・女性57%(プラセボ群方が女性の割合が多い)
・サンプルサイズ : 100人(パワー90%)
 

結果

[一次アウトカム]
・日常の加速度単位→-381加速度単位/日(95%信頼区間-780~17)P=0.06
 
[二次アウトカム]
・1日の活動時間→−0.30時間(95%信頼区間−0.55~−0.05)P=0.02
・30~120mg/日(全用量)服用期間中の活動レベル→-439加速度単位/日(95%信頼区間-792~-86)P=0.02
 

感想

代用のアウトカムではあるものの、、HFpEF患者に対しての一硝酸イソソルビドの投与はQOLの改善が見られず、むしろ活動する時間等については低下させる事が示唆されている。

まあ正直、加速度単位というのが実際どれほどのものなのかがわからないんですけどね…。

 

脱落者が多く、患者背景に偏りも見られるためこの試験のみでは結論することはできないかなという印象です。