【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗うつ薬とNSAIDsを併用することで何か危険はありますか?

「Risk of intracranial haemorrhage in antidepressant users with concurrent use of non-steroidal anti-inflammatory drugs: nationwide propensity score matched study.」
PMID: 26173947
 
・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
 

PECO

P : 前年に抗うつ薬が処方されていない、抗うつが初めて処方される患者(4145226人、韓国)
E : NSAIDsの併用あり(2072613人)
C : NSAIDsの併用なし(2072613人)
O : 併用後30日以内の頭蓋内出血
 
※除外→脳血管疾患の既往あり・99歳以上・頭蓋内出血の診断あり・複数の抗うつ薬が処方されている
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子は何か? : 傾向スコアマッチングが行われている。年齢・性別・併用薬・併存症について調整されている。
・対象集団の代表性は? : 韓国における健康保険のデータベースが使用されており、大きな間違いはないものと思われる。
・併用した期間の中央値 : 14
 

結果

E群(5.7/1000人・年) vs C群(1.6/1000人・年)→調整後ハザード比1.6(95%信頼区間1.32~1.85)P<0.001、NNH=244人
 
抗うつ薬のクラス別の比較では有意な差は見られていない。
 

感想

抗うつ薬とNSAIDsを併用することにより頭蓋内出血のリスクが増加することが示唆されている。
この結果を以て慌てて併用を止めさせるというような必要はないとは思いますが、NSAIDsは漫然と処方されている事も多い薬であるため必要に応じて中止の提案も考えなければいけないなと改めて考えさせられました。