【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

カルシウム+ビタミンDは骨折予防に効果があるのか?

「Calcium plus Vitamin D Supplementation and the Risk of Fractures」

PMID: 16481635 
 
・研究デザイン : ランダム化比較試験
 

PECO

P : 50~79歳の閉経後の女性(36282人、米国)
E : カルシウム(1000mg/日)及びビタミンD3(400IU/日)(18176人)
C : プラセボ(18106人) 
O : 骨折
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化されているか? : 二重盲検が行われている
・ITT解析されているか? : されている
・追跡率 : 97.3%
・平均追跡期間 : 7年
・患者背景 : ほぼ同等、平均年齢62歳・平均BMI29
・サンプルサイズ : 35000人(検出力85%)
 

結果

・大腿骨骨折 : E群(0.14%) vs C群(0.16%)→ハザード比0.88(95%信頼区間0.72–1.08)
 
・脊椎骨折 : E群(0.14%) vs C群(0.15%)→ハザード比0.90(95%信頼区間0.74–1.10)
 
・前腕又は手首の骨折 : E群(0.44%) vs C群(0.44%)→ハザード比1.01(95%信頼区間0.90–1.14)
 
・全ての骨折 : E群(1.64%) vs C群(1.7%)→ハザード比0.96(95%信頼区間0.91–1.02)
 

感想

計算が間違っていなければカルシウム1000mg/日とビタミンD10μg/日の併用は、少なくとも7年間までの介入ではあまり意義を感じないように思います。
 
こちらのランダム化比較試験は介入終了後も観察が続けられ(PMID:24131320 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24131320)、29862人を4.9年後まで観察した結果を以下に。
 
・大腿骨骨折  : E群(0.19%) vs C群(0.24%)→ハザード比0.91(95%信頼区間0.79-1.05)
 
・脊椎骨折 : E群(0.22%) vs C群(0.26%)→ハザード比0.87(95%信頼区間0.76-0.98)
 
・全ての骨折 : E群(2.20%) vs C群(2.23%)→ハザード比0.99(95%信頼区間0.94-1.03)