【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

糖尿病患者の死亡リスクは男女で違いがあるのか?

「Diagnosed diabetes and premature death among middle-aged Japanese: results from a large-scale population-based cohort study in Japan (JPHC study).」

PMID: 25941187
 

PECO

P : 40~69歳の患者(日本、男性46017人・女性53567人) 
E : 糖尿病の診断あり(男性2761人・女性1525人)
C : 糖尿病の診断なし(男性43256人・女性52042人)
O : 総死亡
 

チェック項目

・研究デザイン : コホート研究
・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・調整された交絡因子 : BMI・飲酒・喫煙・運動時間・高血圧症の既往
・追跡期間中央値 : 17.8年
 

結果

・男性
E群(98.0/10000人・年) vs C群(163.9/10000人・年)→調整ハザード比1.60(95%信頼区間1.49~1.71)
 
・女性
E群(45.9/10000人・年) vs C群(102.4/10000人・年)→調整ハザード比1.98(95%信頼区間1.77~2.21)
 
死因別では、
[循環器疾患による死亡]
・男性 : 調整ハザード比1.76(95%信頼区間1.53~2.02)
・女性 : 調整ハザード比2.49(95%信頼区間2.06~3.01)
 
[全ての癌による死亡]
・男性 : 調整ハザード比1.25(95%信頼区間1.11~1.42)
・女性 : 調整ハザード比1.04(95%信頼区間0.82~1.32)
 
また、診断時期毎の総死亡については、
・男性
①ベースライン時以前 : 調整ハザード比1.59(95%信頼区間1.48~1.71)
②~5年後 : 調整ハザード比1.20(95%信頼区間1.05~1.36)
③5~10年後 : 調整ハザード比1.22(95%信頼区間1.03~1.44)
 
・女性
①ベースライン時以前 : 調整ハザード比2.00(95%信頼区間1.79–~2.23)
②~5年後 : 調整ハザード比1.55(95%信頼区間1.29~1.86)
③5~10年後 : 調整ハザード比1.45(95%信頼区間1.14~1.86)
 

感想

糖尿病は死亡と有意に関連し、男性と比較すると女性の方がリスクが高いことが示唆されている。ただ、女性では癌による死亡については関連が見られていない。
 
 
これまでの記事でも幾つか書いてきたけど、糖尿病に関しては薬を使いとにかくHbA1cを下げれば死亡リスクを低下させられるというわけでもないようなので、治療に関して定量的に評価出来るようにエビデンスの収集を継続していかなければならない。