【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ジゴキシンで死亡リスクは高くなる?

以前読んだROCKET-AF試験の後ろ向き解析で、心房細動患者へのジゴキシン投与で死亡リスクが高くなることが示唆されていましたが、

今回は心房細動患者又は心不全患者に対するジゴキシンの影響を検討したシステマティックレビュー&メタ解析を。

 
「Digoxin-associated mortality: a systematic review and meta-analysis of the literature.」
PMID: 25939649
 

PECO

P : 心房細動又は心不全を有する患者326426人(心房細動9研究・心不全7研究・心房細動及び心不全3研究)
E : ジゴキシンあり
C : ジゴキシンなし
O : 総死亡
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
 
・評価者バイアス : 「two experienced, independent reviewers」の記載あり。
 
・出版バイアス : Funnel plotを用いて検討されており、「there was no evidence of significant publication bias (Tau=0.087, P=0.28)」の記載あり。
 
・元論文バイアス : RCTの他にRCTのPost-hoc解析や観察研究も含まれている
 
・異質性バイアス : 異質性検定が行われており、「There were significant differences in treatment effects between individual studies indicated by the statistical test for heterogeneity (Q=153.5, P=0.01, T2=0.008, I2=85.7%)」の記載あり
 

結果

・心房細動患者→ハザード比1.29(95%信頼区間1.21~1.39)P<0.01
・心不全患者→ハザード比1.14(95%信頼区間1.06~1.22)P<0.01
・心房細動又は心不全→ハザード比1.21(95%信頼区間1.07~1.38)P<0.01
 

感想

異質性が高く、解析されている研究は全てがRCTではないため注意が必要ですが心房細動患者や心不全患者においてジゴキシンは死亡リスクを増加させる事が示唆されている。
心房細動へのレートコントロールとして等で漫然と使用されるべきではない薬剤であると感じます。
 
ROCKET-AF試験の後ろ向き解析の結果も合わせて考えると、今後新規でもなかなか使いづらい薬ではないかなーと思います。