【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高齢になってからの禁煙は効果があるのか?

「Impact of smoking and smoking cessation on cardiovascular events and mortality among older adults: meta-analysis of individual participant data from prospective cohort studies of the CHANCES consortium」

PMID: 25896935
 
 
・研究デザイン : メタ解析
 

PECO

P : 23ヶ国における60歳以上の503905人
E : 現在喫煙している又は過去に喫煙していた
C : 喫煙したことがない
O : 心血管死
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 特に記載なし
・出版バイアス : 特に記載なし
・元論文バイアス : コホート研究のメタ解析
・異質性バイアス : 異質性検定が行われている
 

結果

・現在喫煙している vs 喫煙したことがない→①ハザード比2.07(95%信頼区間1.82-2.36) 異質性 : P<0.001・I2=82.3%
②リスク進展期間5.50(95%信頼区間4.25-6.75) 異質性 : P<0.001・I2=84.2%
 
・過去に喫煙していた vs 喫煙したことがない→①ハザード比1.37(95%信頼区間1.25-1.49) 異質性 : P<0.001・I2=68.7%
②リスク進展期間2.16(95%信頼区間1.38-2.93) 異質性 : P<0.001・I2=69.8%
 

感想

喫煙の継続は喫煙をしたことがない人と比べて死亡リスクが高くなり平均余命も短くなることが示唆され、高齢者でも喫煙を止める事で喫煙を継続するよりも死亡リスクが低下し平均余命も長くなることが示唆されている。
 
ただ、バイアスに関して不明な点があり、結果の異質性が高く、メタ解析とはいえ観察研究を統合したものなので交絡の可能性もあるため、この結果をそのまま適用するのは難しいのではないかと思います。
 
 
まあ個人的には患者さんに当てはめて考える際は本人だけでなく家族や周りに与える影響等も考えながら、怒られるかもしれませんがこの結果もうまく利用していきたいなと考えてしまいます。