【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

健診・生活習慣に対する指導で虚血性心疾患のリスクを下げられるのか?

さて今回は本日JJCLIPで取り上げられた論文を復習も兼ねて読んでみましょう。

 
引用元 : 地域医療の見え方ー[JJCLIP]薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせ http://jp.bloguru.com/syuichiao/posts/2015/5/4
 
ちなみにライヴ履歴でも過去の配信を聴けるので、聴いてみると楽しくEBMについて学べると思います。
 
では論文を。
「Effect of screening and lifestyle counselling on incidence of ischaemic heart disease in general population: Inter99 randomised trial.」
PMID: 24912589 
 
 
・研究デザイン : ランダム化比較試験
 

PECO

P : デンマークに住む30~60歳の成人(59616人)
E : 問診・身体検査・血液検査・経口ブドウ糖負荷試験2時間値及び年齢や性別等の修正不可能なリスク因子と体重や喫煙等の修正可能なリスク因子によって虚血性心疾患に対するリスクが評価され、高リスクの人には1・3年目に健診・リスク評価・生活習慣に対する指導を行い、低リスクの人には1・3年目に問診票の送付を行い、5年目に全ての人を対象に健診・生活習慣に対する指導を行う(11629人)
C : 1・3・5年目に問診票の送付のみを行う(48285人)
O : 虚血性心疾患の発生
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化が行われているか? : 行われている
・盲検化が行われているか? : PROBEが行われている
・ITT解析が行われているか? : 行われている
・追跡率 : E群でベースライン時に健診を受けたのは6091人(52.4%)で、5年目に参加したのは4028人(36.4%)
・追跡期間 : 10年
・患者背景 : 年齢に偏りが見られる
・調整された交絡因子 : 年齢・性別・教育・民族・同居・併存症
 

結果

・虚血性心疾患 : E群(4.7%) vs C群(4.4%)→ハザード比1.04(95%信頼区間0.94ー1.14)
 
その他、副次評価項目である脳卒中・虚血性心疾患及び脳卒中・総死亡についても有意差はみられない。
 

感想

5年までの健診・生活習慣に対する指導では10年後の虚血性心疾患や脳卒中・死亡に対する改善はみられないという結果で、個人的には衝撃的なものです。
 
最後までしっかり健診を受けた人が少ないのが気になるところではありますが、偏りに配慮して交絡因子の調整が行われているようです。
 
 
しかしまあ、なんとなく良いものだと思っていた健診について良い結果が得られなかったわけですが、最近良く目にする早期診断・早期介入を謳う「先制医療」についてもそれがどれだけ意義があるものなのかしっかりと考えていかなければなりません。