【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

SU薬 vs メトホルミン

「Comparative effectiveness of sulfonylurea and metformin monotherapy on cardiovascular events in type 2 diabetes mellitus: a cohort study.」

PMID: 23128859
 
 
・研究デザイン : 後ろ向きコホート研究
 

PECO

P : 18才以上で2型糖尿病を有する退役軍人(アメリカ、253690人)
E : グリベンクラミド又はグリピジド(98665人)
C : メトホルミン(155025人)
O : 急性心筋梗塞又は脳卒中による入院・死亡の複合アウトカム
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 複合アウトカムのため注意
・交絡因子の調整 : 傾向スコアによるマッチングが行われている。調整された因子は、年齢・性別・経歴・会計年度・血圧・血清クレアチニン・HbA1c・LDLコレステロール・BMI・ヘルスケアの利用・喫煙・心血管や合併症。
・追跡期間 : SU薬→中央値0.61年、メトホルミン→0.78年
 
 

結果

SU薬投与群(18.2/1000人・年) vs メトホルミン群(10.4人/1000人・年)→調整ハザード比1.21(95%信頼区間1.13-1.30)、NNH=128
 
※傾向スコアマッチング後
SU薬投与群(15.3/1000人・年) vs メトホルミン群(13.0/1000人・年)→調整ハザード比1.16(95%信頼区間1.08-1.25)、NNH=435人
 
心血管イベントのみでも有意差あり

 

感想

SU薬はメトホルミンと比較して心血管イベント(急性心筋梗塞・脳卒中)や死亡のリスクを上昇させることが示唆されているが、このアウトカムに対しての追跡期間が短いように感じる。また、対象がアメリカの退役軍人であるためこのまま日本人に適用できるかはちょっとわからない。他の論文も探してみないとな。