【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

ARBは他の降圧薬と比較して有用か?

「Angiotensin II receptor blocker-based vs. non-angiotensin II receptor blocker-based therapy in patients with angiographically documented coronary artery disease and hypertension: the Heart Institute of Japan Candesartan Randomized Trial for Evaluation in Coronary Artery Disease (HIJ-CREATE).」

PMID: 19346521
 
 

・研究デザイン : ランダム化比較試験

PECO

P : 高血圧を有する冠動脈疾患と診断された20~80歳の入院患者(2049人、日本人)
E : カンデサルタン4~12mg/日を投与、降圧が充分でない場合は他の降圧薬を併用(1024人)
C : ARB以外の降圧薬を血圧<130/85mmHgを目標に投与(1025人)
O : 主要な心血管イベント(心血管死・非致死性心筋梗塞・不安定狭心症・心不全・脳卒中・心血管イベントによる入院)
 

チェック項目

・真のアウトカムか : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・ランダム化されているか? : されている
・盲検化されているか? : PROBEが行われている
・ITT解析されているか? : されている
・追跡率 : 99.6%
・追跡期間中央値 : 4.2年
・患者背景 : 平均年齢(SD)65±9歳、平均血圧(SD)135±18/76±12mmHg、ACE阻害薬の併用が非ARB群70.5%でカンデサルタン群では0.8%
 

結果

カンデサルタン群(25.8%) vs 非ARB(28.1%)→ハザード比0.89(95%信頼区間0.83-1.67)、P=0.358
 
心血管イベントの複合エンドポイントを構成する各要素も全て有意差なし。
 

感想

第一選択として使われる事も多いARBですが、カンデサルタンに有利な結果は得られなかった。
PROBEが行われているが、入院というソフトエンドポイントでも有意差なし。
非ARB群では70.5%がACE阻害薬を投与されているため、実質ARB vs ACE阻害薬という感じなのかしら?