【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

高血圧の心不全患者にARB(オルメサルタン)は有効か?

「Clinical impacts of additive use of olmesartan in hypertensive patients with chronic heart failure: the supplemental benefit of an angiotensin receptor blocker in hypertensive patients with stable heart failure using olmesartan (SUPPORT) trial」

PMID: 25637937 
 
 

PECO

P : 高血圧の既往のある症候性慢性心不全の患者(日本人、平均年齢66歳、1147人)
E : ACE阻害薬・β遮断薬の単独又は併用での治療にオルメサルタンを追加(578人)
C : オルメサルタンなし(569人)
O : 総死亡・非致死性の急性心筋梗塞・非致死性の脳卒中・心不全悪化による入院の複合エンドポイント
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・盲検化されているか? : PROBEが行われている
・ITT解析されいるか? : されている
・追跡率 : 99.9%
・追跡期間中央値 : 4.4年
・患者背景 : 男性が75%くらいと多め
 

結果

血圧はオルメサルタンあり群128.7/74.8mmHg±18.2/12.2mmHg、オルメサルタンなし群127.1/73.8mmHg+18.1/11.7mmHg
 
・一次アウトカム : オルメサルタンあり群(33.2%) vs オルメサルタンなし群(29.2%)→ハザード比1.18(95%信頼区間0.96-1.46、P=0.112)
 

感想

オルメサルタンを追加することによる、臨床転帰の改善はみられず有意差はないものの増加する傾向。
また二次アウトカムでは腎機能障害においてオルメサルタンあり群が21.1%でオルメサルタンなし群が12.5%でハザード比1.85(95%信頼区間1.24-2.76、P=0.003)と増加することが示唆されているため、ACE阻害薬又はβ遮断薬を既に服用している患者ではARBを追加することによる上乗せ効果は期待出来ない。 
 
それにしても、PROBEが行われているので複合エンドポイントとはいえ心不全の悪化による入院というソフトエンドポイントが含まれているのは適切ではないと感じるんですがどうなんでしょうね?