【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

2型糖尿病患者では血圧を厳格に管理した方がやっぱり良いのか?~その後

「Long-term follow-up after tight control of blood pressure in type 2 diabetes.」

PMID: 18784091
 
 
前回の論文では2型糖尿病患者の血圧を厳格に管理した群(<150/85mmHg)では非厳格に管理した群(<180/105mmHg)と比較して、糖尿病関連エンドポイント(突然死・高血糖又は低血糖によ死亡・致死性又は非致死性の心筋梗塞・狭心症・心不全・脳卒中・腎不全・指の切断手術・硝子体出血・網膜光凝固・片目の失明・水晶体摘出)と糖尿病関連死(心筋梗塞・脳卒中・末梢血管疾患・腎疾患・高血糖または低血糖・突然死)において有意なリスク低下がみられましたが、

 

 

今回は試験終了後、試験薬を中止し10年後のアウトカムを比較した観察研究のようです。こちらの研究の追跡期間の中央値は8.0年。結果は以下。
 
・糖尿病関連エンドポイント : 厳格群(62.1人/1000人年) vs 非厳格群(67.2人/1000人年)→相対危険度0.93(95%信頼区間0.80-1.09)、p=0.31
 
・糖尿病関連死 : 厳格群(20.0/1000人年) vs 非厳格群(23.9/1000人年)→相対危険度0.84(95%信頼区間0.67-1.05)、p=0.12
 
・全死亡 : 厳格群(36.0人/1000人年) vs 非厳格群(40.4人/1000人年)→相対危険度0.89(95%信頼区間0.75-1.06)、p=0.18
 
全てリスクを下げる傾向にはあるものの有意はなし。
高血圧を有する2型糖尿病患者では血圧の厳格な管理を継続していく必要があることが示唆れています。
 
ただ、厳格と言っても「<150/85mmHg」なので現行のガイドラインの降圧目標である「<130/80mmHg」では結果が変わってくるのかもしれませんね。