【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

心血管イベントのリスクが高い患者はアジスロマイシン服用で死亡リスクが増加する?

以前クラリスロマイシンで心臓死リスクの増加を示唆する論文を読みましたが、

 

 

他のマクロライドについても調べてみようと思い検索してみたところ下記の論文を見つけたので読んでみます。
 
「Cardiovascular events and safety outcomes associated with azithromycin therapy: a meta-analysis of randomized controlled trials.」
 
・研究デザイン : メタ分析
 

PECO

P : 冠動脈疾患・心筋梗塞・不安定狭心症・末梢動脈疾患・COPDの既往があるか重症敗血症等の危篤等の心血管イベントのリスクの高い患者(15588人)
E : アジスロマイシン
C : プラセボ
O : 死亡・入院・経皮的冠動脈形成術による治療
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム
・一次アウトカムは明確か? : 明確
・評価者バイアス : 特に記載なし
・出版バイアス : Funnel Plotを用いて検討されているが、「Little evidence of publication bias was found in the studies. 」の記載あり
・元論文バイアス : 全てRCTだが、未発表のものも含まれている。
・異質性バイアス : 「No heterogeneity was observed (I2 = 0%).」の記載あり
・追跡期間 : 18週~6年
・患者背景 : 特に気になるような偏りは見られない
 

結果

・死亡→リスク比0.877(95%信頼区間0.752-1.024、P = 0.097)
・入院→リスク比1.005(95%信頼区間0.922-1.094、P = 0.915)
・経皮的冠動脈形成術→リスク比0.999(95%信頼区間0.896-1.125、P = 0.984)
 

感想

意外にも有意差はないが死亡は減少する傾向。その他も有意な差はないが、このメタ分析には未発表の論文が含まれ、また出版バイアスも排除できていないので妥当性はかなり低い可能性があり、この結果を鵜呑みにするべきではないと思う。
 
追加
すいません、英語を読み違えていたようで「出版バイアスの可能性は比較的低い」でした。