【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

マスクと手洗いは家族間でのインフルエンザ感染を防げるのか?

「Facemasks and Hand Hygiene to Prevent InfluenzaTransmission in Households」

PMID: 19652172
 
 
・研究デザイン : クラスターランダム化比較試験
 

PECO

P : A型またはB型インフルエンザと診断された家族がいる家庭で
E : 手洗いまたはマスクの着用と手洗いを行った場合
C :  生活指導のみを行った場合と比べて
O : 家族間でのインフルエンザ感染はどうなるか
 

チェック項目

・一次アウトカムは明確か? : 明確
 
・真のアウトか? : 真のアウトカムと言える
 
・盲検化されているか? : されていない。っていうか盲検化できない。
 
・ITT解析されているか? : されている
 
・結果を覆すほどの脱落者はいるか? : 追跡率97%なので問題ない
 

 結果

手洗い群 vs コントロール群
・RT-PCRによる検査→オッズ比0.58(95%信頼区間0.26 - 1.22)
・熱が37.8℃以上・咳・頭痛・咽頭痛・関節の痛みのうち少なくとも2つ以上の症状がありインフルエンザと診断→オッズ比0.92(95%信頼区間0.57 - 1.48)
・熱が37.8℃以上かつ咳又は咽頭痛がありインフルエンザと診断→オッズ比0.81(95%信頼区間0.33 - 2.00)
 
マスク+手洗い群 vs コントロール群
・RT-PCRによる検査→オッズ比0.77(95%信頼区間0.38 - 1.55)
・熱が37.8℃以上・咳・頭痛・咽頭痛・関節の痛みのうち少なくとも2つ以上の症状がありインフルエンザと診断→オッズ比1.25(95%信頼区間0.79 - 1.98)
・熱が37.8℃以上かつ咳又は咽頭痛がありインフルエンザと診断→オッズ比1.68(95%信頼区間0.68 - 4.15)
 

感想

どちらも家族間での感染を減少させる傾向にあるものの有意差はないためマスク・手洗いは予防としては十分とは言えないようです。
あくまでも家族間での感染なのでインフルエンザに感染している家族がいるという状況以外では効果がないというわけではないと思いますが、うがいも効果がない場合が多いようなので予防するならばまずは予防接種を受けるということが重要なのかもしれません。
 
かなり個人的な意見になってしまいますが、マスクをした女性は綺麗に見える又は綺麗な顔をしているのではないかと想像する傾向にあるため、研究の結果には全く関係なく女性はマスクを着用することをお薦めしたいと思います。