研究デザインとエビデンスレベルについて 後編
研究デザインについての続きを。
横断研究
横断研究については以前書きましたが、
ある時点での疾患を有する患者に対して暴露の有無・程度や有病率を調査し検討する方法で、利点としてはいくつかの要因(症例ー対照群や暴露ありー暴露なし等)に 着目して比較できる。欠点としては原因と結果の因果関係が明確ではない。
ケースコントロール研究/症例対照研究
ある時点で特定の病気にかかっている人(ケース群)と、年齢・性別などの条件が同じで病気ではない人(コントロール群)を集め、過去にさかのぼってその病気との関連が疑われる要因について調査する研究。
これらの要因は今現在の要因や過去に遡った要因であるため、後ろ向き研究又は横断研究として分類されるようです。
利点としては、対象としている病気の原因と考えられる要因を複数調べることができる。
欠点としては、リスク要因に関する情報を過去にさかのぼって調べなくてはいけないので情報が不正確になりがちになる。例えばケース群では過去に原因として考えられる要因に暴露していたかを記憶していても、コントロールか群では病気に罹患してはいないため同じ暴露を受けていても記憶していないという「思い出しバイアス」等がしばしば見られるようです。
ケースシリーズ研究
ある疾患をもつ患者群のみを対象として疾患の特徴を研究するもので、対照との比較はしない研究。例えば、非常に稀な病気の症例やある治療法が良く効いた症例が報告されているもの。
利点としては、稀な疾患の場合などに治療と効果や有害事象との相関関係の仮説を示唆できることがある。
欠点としては、厳密さに欠けていたり、既存の治療法と比較して治療効果が優れているのかどうかわからない。
症例報告
個々の患者の診断・治療・その後の経過の詳しい報告。また、患者に関しての何らかの人口統計の情報も含んでいる(例:年齢・性別)。
利点としては、稀な疾患の場合には今後の治療に直接参考になり、未知の疾患を最初に報告するきっかけとなる。
欠点はケースシリーズと同様。
専門家委員会や専門家個人の意見
これはまあ説明するまでもないですが、エビデンスレベルとしては一番低く分類されておりますが、専門家の中にもトンデモやデマを流布するような人達もいて、専門外の人によってはエビデンスレベルの高い情報よりもそういった情報の方を頑なに信じるというような場合もあるので頭が痛いところではありますが、まあ皆さん頑張って行きましょう。
ちなみにエビデンスレベルの分類には書いてありませんが、ある疾患患者を偶数群に分けて一旦治療経過を追った後、各群で治療法を交換して再度経過を追い、比較するクロスオーバー比較試験というものもあるようです。