【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

抗生剤のリスクとベネフィット

「Risks and Benefits Associated With Antibiotic Use for Acute Respiratory Infections: A Cohort Study」PMID: 23508604

 

研究デザイン

→ 後ろ向きコホート
 

PECO

P : 急性呼吸器感染症の患者に
E : 抗生剤を投与すると
C : 抗生剤を投与しない場合と比べて
O : 過敏症・下痢・脳卒中・ 不整脈・肝機能障害・腎機能障害の重篤な有害事象及び肺炎による入院がどうなるか
 

チェック項目

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・アウトカムは明確か? : 明確だと思われる

・交絡因子は調整されているか? : 傾向スコアによるマッチングが行われている
 

結果

・有害事象
10万人当たりのPoint Estimate -1.07(95%信頼区間 -4.52 〜 2.38、P=0.63)有意差なし
抗生剤の種類によっても有意差なし
NNHは15日で136987人
 
・肺炎による入院
10万人当たりのPoint Estimate -8.16(95%信頼区間 -13.24〜 -3.08、 P=0.002)有意差あり
NNTは12255人
 

感想

重篤な有害事象は意外と多くはなく、肺炎による入院では有意差がでているものの12255人治療して1人の入院を防げるというのは臨床的に意義があるのかどうか。
年齢の中央値が40代なので高齢者でリスクが高い場合はまた違う結果になるのかもしれない。