【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

NOACの過剰投与と過小投与

【私的背景】

今回も抄録しか読めないけど、気になった論文を1報だけ読んでみたいと思います。

 

 

「Non–Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant Dosing in Patients With Atrial Fibrillation and Renal Dysfunction」

http://www.onlinejacc.org/content/69/23/2779

 

【PECO】

: 心房細動を有し、NOAC(アピキサバン・ダビガトラン・リバーロキサバン)が開始された患者(米国、14865例)

: 減量を要す腎機能低下患者に通常用量を使用(潜在的過剰投与群)、減量を要さない腎機能患者に低用量を使用(潜在的過小投与群)

: 適切な用量を使用

: 大出血、脳卒中

 

【チェック項目】

・研究デザイン : コホート研究

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・対象集団の代表性は? : 行政のデータベースが使用されており、大きな問題はないと思われる

・交絡因子の調整は? : 傾向スコアマッチングが行われている

 

【結果】

潜在的な過剰投与

・減量を要する腎機能低下例の43.0%で潜在的な過剰投与が行われていた

・大出血→ハザード比 2.19(95%信頼区間 1.07~4.46)

脳卒中→有意な差はみられなかった

潜在的な過小投与

・減量を要さない腎機能例の13.3%で潜在的な過小投与が行われていた

・アピキサバン

脳卒中→ハザード比 4.87(95%信頼区間 1.30~18.26)

大出血→有意な差はみられなかった

・ダビガトラン、リバーロキサバン→どちらも有意な差はみられなかった

 

【感想】

潜在的な過小投与において、アピキサバンのみ脳卒中リスクの増加が示唆されている点をどう解釈すべきか困ってしまいますが、いずれにしろNOACを使用する上で、不用意な減量や、必要な減量を行わないといったことは避けるべきであると考えます。

ただ、現実的には境界線付近にいる患者で出血のみられる患者等が問題になることが多いのではないかと思います。

薬局薬剤師としては、個々の出血リスクを考慮しつつ、用量を注視していくのが肝要ではないかなと考えます。

 

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