【薬局薬剤師の記録的巻物】

EBMの実践のため、論文を読み、記録していきます。

Z-drugsも股関節骨折リスクを増加させますか?

【私的背景】

以前、ゾルピデムと骨折リスクについて検討されている研究を取り上げたが、いずれも強いエビデンスではなかった。今回、Z-drugsと骨折リスクについて検討されているシステマティックレビュー&メタ解析を見つけたので読んでみたいと思う。

 

 

「Benzodiazepines, Z-drugs and the risk of hip fracture: A systematic review and meta-analysis.」

PMID:28448593

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28448593

 

PECO

: 50歳以上の患者(ケースコントロール研究12研究・コホート研究10研究、平均年齢72.0~84.3歳)

: BZDまたはZ-drugsの使用あり

: 使用なし

: 股関節骨折

 

BZD→ジアゼパムロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、テマゼパム、ニトラゼパム、ロプラゾラム、クロバザム

Z-drugs→ザレプロン、ゾルピデム、ゾピクロン

 

チェック項目

・研究デザイン : システマティックレビュー&メタ解析

・真のアウトカムか? : 真のアウトカム

・一次アウトカムは明確か? : 明確

・評価者バイアス : 2人のレビューワーが独立して検索している。

・出版バイアス : Funnel plotを用いて検討されており、視覚的に対称。 英語の文献のみ検索されている。

・元論文バイアス :  Newcastle-Ottawaスケールを用いて検討されており、Table 1を見ると、大きな問題はないと思われる。

・異質性バイアス : フォレストプロットの方向性は視覚的に一致している。

 

結果

①BZDの使用→調整相対リスク 1.52(95%信頼区間 1.37~1.68)P<0.00001、I2=67%

短期間の使用→調整相対リスク 2.40(95%信頼区間 1.88~3.05)P<0.00001、I2=27%

中期間の使用→調整相対リスク 1.53(95%信頼区間 1.22~1.92)P=0.0002、I2=0%

長期間の使用→調整相対リスク 1.20(95%信頼区間 1.08~1.34)P=0.001、I2=0%

 

②Z-drugsの使用→調整相対リスク 1.90(95%信頼区間 1.68~2.13)P<0.00001、I2=29%

・短期間の使用→調整相対リスク 2.39(95%信頼区間 1.74~3.29)P<0.00001、I2=26%

 

感想

高齢者において、Z-drugsは股関節骨折リスクについてBZDと同等に警戒すべきものであるように思います。

BZDのサブグループ解析では短期間の使用において最もリスクが高い点を考えると、やはり新規に処方されている場合は服薬指導の際に十分に注意を促し、夜間に起きた場合等は、部屋や廊下の照明を点けて十分に明るい状態で移動し、床に障害物を置かないように気を付け、手すりがあれば手すりにつかまって移動するなどの転倒予防への具体的な対策について患者に説明する必要があるかと思います。

などと、とても当たり前なことについて書きましたが、当たり前の事を再度確認できた論文でした。

 

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